東北の“営業マン”となれ。楽天星野仙一監督(65)が12日、自軍選手に対し、遠征先で東北の名産品を売り込むよう指令を出した。練習休みのこの日、岡山に滞在中の監督は「せっかく1年間、いろんなところに行くんだ。みんなでアピールすれば大きいんじゃないか」と真剣なまなざしで言った。

 牛タン、笹(ささ)かまぼこ、米、三陸の魚介に日本酒等々。東北には、うまいものがそろう。楽天は在京球団と違い遠征が多い。それならばと、行く先々で東北の美食を口コミで広めて、東日本大震災で甚大な被害を受けた農漁業復興に一役買おうというアイデアだ。

 きっかけがあった。今月上旬、オープン戦を戦った長崎でのこと。会食で鹿児島産の牛肉を味わったが、シメのご飯に不満が残った。「東北の米じゃなかったんだ。お店には『東北の米はうまいぞ』と言っておいたよ」。8日から滞在中の岡山では、呼ばれた先で仙台牛を出された。「絶品。思わず『仙台牛を使ってくれて、ありがとう』と言っちゃったよ」と明かした。就任2年目。すっかり東北のとりことなっている。

 選手も反応した。大阪出身で大学(八戸大)から東北に暮らす塩見は「八戸の魚介類も有名ですよ。仙台の牛タンは本当においしい。お役に立てるなら喜んで」と歓迎した。グラウンドを離れても「東北」の看板を背負うイヌワシ戦士。営業トークでも、復興の一助となる。【古川真弥】