ロッテ西村徳文監督(52)は、前日13日まで開幕10戦で4番を務めたジョシュ・ホワイトセル内野手(30)を一気に2軍へ降格させた。前日の試合で、その決断をした。2度の得点圏で凡退した助っ人に対し「球の見逃し方がよくない。この状態では厳しい」と、7回に代打福浦を送った。試合中だった午後9時前には、2軍で好調の角中を深夜中に合流させるように手配を指示した。

 大不振ではなかった。打率2割3分7厘、0本塁打、5打点。助っ人としては物足りない。だがチーム打率と、ほぼ同じで打点はチームトップタイ。開幕シリーズでは楽天田中も攻略し、2度の決勝打も放った。西村監督も「数字を残してなくはない」と早めの決断だったことを認めた。

 だが現状からの上昇気配を感じないと判断した。不振を象徴するシーンがあった。2試合連続で空振りしたバットが捕手を直撃し、退場させていた。長嶋打撃コーチは「ワンバウンドする球を振りに上体が前に行き、フォロースルーで体重が後ろにかかってバットが捕手に当たる。それ自体が、状態がおかしいということ」と分析していた。

 昨季チーム本塁打は西武中村1人に満たない46本。その弱点解消を求めて獲得した。だが打線の売りは、あくまで2年前に日本一を勝ち取った「つなぎ」にある。4番がそこを遮断しては元も子もない。開幕4連勝後、6試合で8得点の貧打状態で西村監督は「打線がつながらないといけない」と何度も口にした。そして代役に据えたのは「つなぎの4番」の異名を取るサブロー。初回に先制打を放ったのをきっかけに、打線が機能し、8試合ぶりに4得点した。

 西村監督の決断の裏には先を見据えているものもある。「長打のないチームにとっては必要な戦力だから下で調子を取り戻してほしい」。つなぎという即効性と長打力という将来性を求め、断を下した。【広重竜太郎】