<中日2-2阪神>◇2日◇ナゴヤドーム

 中日荒木雅博内野手(34)が救った。球児を打って守道竜の首位を守った。1点を勝ち越された延長10回。1死二塁で藤川の初球フォークをとらえ、左前に運んだ。ナゴヤドームの竜党は総立ちの大歓声、土壇場の同点タイムリーだ。「とにかく必死こいて打ちました」。この1本がなければ連勝も4で止まり、首位を陥落。紛れもなく、3時間56分に及ぶ激闘ドローの殊勲者だった。

 直前の10回表、浅尾が新井に痛恨の勝ち越し打を浴びた。守護神藤川が投入され、敗色は濃厚だった。先頭の代打、堂上剛が中前打で出塁。「当たってでも出ようと思った」という後輩の執念に、プロ17年生が燃えないわけがなかった。

 荒木は8回の打席で榎田から右足甲に死球を受けていた。試合後も治療しなければならないほどの痛みに耐え、気迫の一打を放った。そして浅尾も救われた。高木監督は「もう疲れたで、今日は私も休刊日にしてくれ」とご機嫌で登場した。「荒木はよう打ったよ。本来あの当たりなら二塁まで行けただろうけど、死球(の影響)で走れんかったな」。ベテランの体調を思いやり、意地をたたえた。エース吉見に長期離脱の可能性が浮上。そして浅尾で負けかと嫌なムードが漂ったが、2度のビハインドを追いつく勝ちに等しい引き分け。連覇球団の底力を見せつけた。【松井清員】