<楽天8-7西武>◇10日◇Kスタ宮城

 決勝点の瞬間、楽天星野仙一監督(65)はばんばん両手をたたき喜んだ。7-7の8回1死二、三塁。聖沢が西武松永から右飛を放つ。三塁走者の鉄平は本塁手前で捕手星孝と交錯したが、はねのけホームイン。セーフの判定に、球審に触れた星孝が退場になった。場は荒れたが、星野監督は「空タッチだった。ビデオで何回も見たよ」と冷静だった。

 準備のたまものだ。8回先頭ガルシアが同点ソロを放ち、続くテレーロが打席に向かった時点で鉄平は屈伸運動を始めた。「代走は分かっていた」。右前打のテレーロの代走で二盗、さらに三塁へ。最後は果敢に生還。星野監督の信念は「控え選手はベンチに座っているだけじゃダメ。試合を見て流れに入らないと」。求める戦いができた1点だった。

 打っては、前回初勝利を与えた小石を2回途中KO。守っては8回、牧田が本塁好返球で三塁走者の生還を許さなかった。執念を見せたのはベンチも同じ。4回表を終え6-2。雨が強くノーゲームの恐れがあると見て、裏の攻撃を早く終わらせた。聖沢、松井が3球三振。安打の高須はけん制死。大久保打撃コーチは「監督のサイン。相手はなめていると思うかも知れないが、ファンは勝ちを見たい。大事な作戦」。なりふり構わず策を徹底させた。

 史上12人目の1000勝へ、あと1勝。星野監督は「疲れたよ。ホンマに」と苦笑いも「うちはすぐ連敗する。気を付けないと」と締めた。今日11日、3連勝で偉業を果たす。【古川真弥】