<中日3-3ロッテ>◇17日◇ナゴヤドーム

 サブロー外野手(35)の抜群の読みがロッテを値千金のドローに導いた。4回1死二塁。雄太の初球を狙っていた。初回1死一、三塁で併殺打に打ち取られた内角高めの、まっスラを。「来ると思っていた。(前打者の)井口さんにも同じ攻め方をしていた。それをファウルにするつもりだった」。鋭い当たりのファウルを放ち、同じコースに投げにくくさせようと考えた。

 だが、思惑以上の結果となった。芯の近くに当てつつ、打球を詰まらせる。ギリギリまで球を引きつけてミートポイントを体の近くに置き、そこから腰を鋭く回転させる。「芯に当たったら打球が(ファウルへ)切れる。芯詰まりだから、切れずにあそこまで飛んだ」。4月21日の西武戦以来の2号同点2ランは、自画自賛の1発でもあった。

 野球以外のことにも読みを働かせる。3月11日、自宅でテレビ朝日系列の「報道ステーション」の震災特番を見た。古舘キャスターが原発問題について「もし圧力がかかって番組をきられてもそれは本望です」と発言。それを見て「何でこういうことを言ったのか、発言したことで、どういう影響があるのか、物事の裏を読みたくなる」。普段から思いを巡らせている。

 1点を追う9回には無死一、三塁から飛距離十分の中犠飛。「逆転しなきゃいけない勢いだから、ヒット狙いだった。最低限の仕事」。納得はしなかったが、2度のビハインドを追いつく4番の働きに西村監督は「ベテランで4番打者としてチームのためにやってくれている」と、たたえた。

 6連勝はお預けとなったが、昨季まで交流戦10連敗だったナゴヤドームで1勝1分け。「はっきり言って負けゲームだった。いいチームになってきたよね」。パ・リーグ首位の力を、4番サブローは実感していた。【広重竜太郎】