<ヤクルト1-4楽天>◇27日◇神宮
一番乗りだ。楽天ドラフト2位釜田佳直投手(18)が12球団の高卒ルーキーでは今季1号となるプロ初勝利を挙げた。直球の最速は149キロと自己最速153キロには届かなかったが、キレのあるスライダーを織り交ぜ、ヤクルト打線を7回途中4安打1失点に抑えた。球団の高卒ルーキーではエース田中のデビュー4戦目を抜く2戦目での白星。球団史に名を残す投球で、チームの連敗を2で止めた。
初めて味わう儀式のラスト、待っていたのは重厚感たっぷりの握手だった。釜田はチーム1人1人とハイタッチを終えた。人いきれをかき分け、ベンチ前へ。星野監督がいた。右手を握り合うと、左手で頭をなでられた。「こんなに早く出来るとは思っていなかったです。すごく、うれしい」。18歳の純な笑顔だった。
自分を超えた。デビュー戦の20日阪神戦。1回、味方の失策や自らの暴投もあり3点を失った。この日は2回に味方の失策と2四球で1死満塁を招いたが、冷静だった。「一番良い球を投げるだけ」とヤクルト田中を直球中心に攻め、2ボール2ストライク。「阪神戦のことがあったけど、乗り越えないといけなかった」と最後は1週間前に引っかけ暴投にしたスライダー。ストライクからボールへ鋭く逃げる軌道で空を切らせた。続く館山も三振で、最大ピンチをしのいだ。
投球の原点を教えてくれたマウンドに戻ってきた。2年前の秋、金沢のエースとして神宮大会に出場。東北との1回戦で150キロを連発も11安打を浴びた。東北のエースは球速130キロ台だったが、0-3の完投負け。「投げ方が分からなくなった」ほど悩んだ。結論は「力任せの球速に頼りすぎている」。動画サイトをあさり、上背が近い元西武の工藤公康氏に着目。「工藤さんは力感がない投げ方で強い球が行く。フォームに無理がない」と参考にし、翌夏甲子園大会の2勝につなげた。この日は「調子はいまいち」で、最速149キロ。だが「相手の館山さんを参考にしました。力みがない」と貪欲だった。
球団では、田中に続く高卒ルーキー勝利で「田中さんは1年目で11勝。意識して新人王を目指します」と堂々宣言した。ただ4四死球で「素直に喜べない」。そんな釜田に、星野監督は「マサヒロみたいに成長してほしい」と目を細める。楽天の新時代を予感させる夜になった。【古川真弥】
◆釜田佳直(かまた・よしなお)1993年(平5)10月26日、石川・小松市生まれ。金沢(石川)では3年春夏甲子園出場、春は初戦敗退。夏は3回戦で習志野(千葉)に敗れたが自己最速153キロを計測。11年アジアAAA選手権日本代表。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。
▼高卒新人の釜田がプロ2試合目で初勝利。高卒新人の勝利は10年中村(日本ハム=1勝)と秋山(阪神=4勝)以来で、楽天では07年田中(11勝)に次いで2人目。中村は初登板、秋山は2試合目で初勝利を挙げるも、8月に記録。5月までに白星を挙げた高卒新人は08年唐川(ロッテ)以来で、ドラフト制後は21人目。田中の初勝利は登板4試合目の4月18日ソフトバンク戦だから、試合数では釜田が田中より早く白星を挙げた。



