岩田よ、踏ん張れ!

 阪神岩田稔投手(28)が今日5日、楽天戦(Kスタ宮城)で汚名返上の先発マウンドに立つ。前回登板した5月30日ロッテ戦(甲子園)は今季最短3回2/36失点KO。不安定な内容が続いているだけに、正念場だ。スカッとした快投で上昇モードに転じたい。

 先発ローテーション死守をかけたマウンドになる。岩田が楽天と公式戦初対決。風薫る天候の仙台・Kスタ宮城で練習を終えると、普段通り、短い言葉に決意を込めた。「自分のやるべきことを、やるだけなので」。4日はラダートレーニングなど瞬発系のメニューに集中して取り組んだ。1球に最善を尽くし、強烈に存在感を示したいところだ。

 08年に10勝を挙げ、左肘手術明けの11年も9勝を重ねたサウスポーが、微妙な立場に立たされている。開幕から宝刀スライダーがワンバウンドするなど、本来の制球を欠き、苦しくなって投げた直球を痛打されるケースも見られた。5月30日ロッテ戦では、フィールディングのまずさから失点を重ね、痛打を繰り返した。「自分で試合をつぶしてしまって、非常に申し訳ない…」と猛省した。

 今季は9試合に先発して3勝5敗で防御率4・03と低調だ。岩田自身が重視するセイバーメトリクスの指標、先発投手の能力を示すQS(6回以上を投げて自責点3以内で記録)率にも不調ぶりが表れている。昨季はリーグ3位の84%だったが、今年はここまで56%に激減。打者からゴロを重ねる本来の投球術を示せない。登板を控え、山口投手コーチも「危機感を持ってやって欲しい」と話した。

 2軍では若手の秋山や二神らが高く評価され、虎視眈々(たんたん)と先発陣への仲間入りを狙う。それだけに、これまで揺るぎない地位だった岩田も決して安泰ではない。髪を短く刈り込むなど、気分転換も図った。今季、開幕前には「自分が結果を出して、周りに認められるようにならないと」と話し「勝つこと」をテーマに掲げた。初心に立ち戻り、仙台のマウンドをリスタート地点にしたい。【酒井俊作】