<ロッテ6-6阪神>◇17日◇QVCマリン
猛虎打線に火をつけたのは新井良太内野手(28)だ。3点を追う7回、左翼にドカーンと2号ソロ。好投の成瀬をマウンドから引きずり下ろし、8回にも左前打で6連打を呼び込んだ。これで3戦連続マルチ安打。リーグ再開後は激しい外野の守備位置争いが予想されるが、持ち前のガッツで猛アピールだ。
日差しがジリジリ照りつける幕張の午後3時過ぎ。ビハインドが3点に広がり、頼みの能見は降板していた。ロッテ成瀬はこの日も健在。虎党の脳裏に敗戦がチラつき始めた7回、このチームには良太がいた。
新井良
追い込まれていたし、なんとか食らいつこうと思っていた。
先頭で打席に立ち、2ボール2ストライクと追い込まれての5球目。内寄り高めの128キロ直球に反応し、体をクルリと回転させた。強振から放たれた飛球はグングン伸びて左中間最深部席に着弾。追撃の2号ソロには一瞬で雰囲気を変える力があった。
この一撃で成瀬は降板。2点を追う8回1死一塁、今度は左前打で好機を広げた。この回6連打の2番手を担い、同点のホームを踏む。一気の3得点逆転劇を巧みに演出し、激戦を盛り上げた。相手先発の右左に関係なく、6試合連続スタメン。その間は18打数8安打の打率4割4分4厘と暴れまくり、これで5戦連続安打&3戦連続マルチだ。
押しも押されもせぬムードメーカー。元気と大声で日々、笑いをつくり上げる。2日前の15日には全体練習(QVCマリン)で金本や関本らにいじられ、アップ中に1人だけ1本多くダッシュするハメに。試合に入っても、塁に出れば味方ベンチからヤジられる。今や虎に欠かせない存在だ。
4月のある中日戦。試合前練習の合間を縫い、グラウンドで古巣の先輩たちの元へあいさつに出向いた。谷繁や和田から冗談交じりに「戻ってこいよ」とイジられた時、笑顔でこう返した。「何言ってるんすか。僕は出された身ですから」。10年オフ、水田との交換トレードで中日から阪神に入団。虎に必要とされた喜びと同時に、竜に「出された」という思いもあったはずだ。悔しさを力に変え、阪神で居場所を見つけた。
新井良
僕はまだチームのことを考えられる立場じゃない。自分のことに集中して、とにかく食らいついていくだけ。
交流戦が幕を閉じた。リーグ戦再開後は当然、DH制がない。当面は復調を期すマートンらと右翼を争う立場になる。試合後、新井良は決して表情を緩めなかった。【佐井陽介】
▼新井良の5戦連続安打、3戦連続マルチ安打はいずれもプロ入り最長。また11年の良太の阪神移籍後、兄貴浩との打点そろい踏みは5月19日楽天戦に次ぎ2度目。安打そろい踏みは3試合連続。



