<ロッテ6-6阪神>◇17日◇QVCマリン

 こんな猛攻を見たかった。阪神打線が今季初の6連打で、3点ビハインドをひっくり返した。前日のロッテ戦で記録した今季チーム最多安打を1日で更新。17安打の波状攻撃だ。最後は藤川が打たれて引き分けとなり、交流戦5割フィニッシュはならなかったが、この打線なら22日のリーグ戦再開も怖くない。早く来い来い、リーグ戦!

 開幕以来、最大級の興奮だった。2点を追う8回表。ブラゼルの内野安打から始まった猛攻は、切れ目がなかった。平野の一時は勝ち越しとなる右前タイムリーまで、6連打。今季初の波状攻撃で、試合をひっくり返した。貧打に苦しんだチームに、復活の光がはっきりと差し込んだ瞬間だ。

 和田監督

 チーム自体は上向いてきている。交流戦明けのブレーク期間がもったいないぐらい勢いが出てきた。

 3つの数字が物語る。「13」「16」「17」-。3戦連続の2ケタ安打を記録した。前日は序盤の先制攻撃。そしてこの日は今季最多安打を更新し、劣勢の中で底力を発揮した。

 和田監督

 追いかける展開だった。ヒットの割には得点が少ないが、動きが出てきたということ。振れてきている。これで安心しないで、まだ上向いてきているという状態。大丈夫というところまでは来ていない。

 完全復活の言葉はグッとのみ込んだが、それに近いものはある。今日18日からリーグ戦再開まで4日間のオフを迎える。すぐにでも試合がしたいというのが本音だろう。

 主軸と若手の融合で潮目が変わった。くしくも若手育成の苦情が出た株主総会の同日14日の西武戦から、1番野原祐を起用。ベテランの復調を待ち続けるよりも、旬の選手にチャンスを与える方針に転換。8回の6連打は途中出場の今成や1番浅井らが応えた。野手を全員使い切っての引き分けとなったが、チームが1つになり、相手投手を攻略する一丸野球が形になった。

 反撃開始を掲げた千葉の戦いは1勝1分け。前夜に、和田監督は千葉県松戸市に住む父好正さん(78)、母哲子さん(75)と食事した。根っからの阪神ファンという父から叱咤(しった)激励の言葉をもらった。この日は球場に招待し、故郷で戦う姿を披露した。「たまたま父の日と重なったが、いいプレゼントになった。チーム愛をもって、やっている。チームの皆さんも本当にがんばっていると思います」と好正さんは笑った。親子の語らいで、指揮官も気持ちを新たにした。

 リーグ戦再開は、22日DeNA戦(甲子園)。勝率5割復帰という目標には、あと1歩届かなかったが、得るものは大きかった。

 和田監督

 これを維持するのではなく、休みを大事に使って、今の位置から、もうひと息も、ふた息も上がってくるように練習したい。

 交流戦最終戦で6連打締め。逃げるな、巨人-。逆襲の準備は整った。【田口真一郎】

 ▼阪神が今季チーム最多の17安打。前日の同カードで16安打しており、2日続けてシーズン最多を更新した。14日西武戦で13安打しており、3試合連続の13安打以上は10年8月28日ヤクルト戦~9月2日横浜戦の5試合連続以来で、昨年の統一球導入後では最長。また、8回の6者連続安打は、4月10日広島戦(マツダスタジアム)3回の5者連続を超え今季最長。