<西武3-3オリックス>◇22日◇県営大宮

 「ピッチャー涌井」のコールに、ファンから送られたのは温かい拍手だった。球場全体を包む「涌井コール」。37日ぶりの1軍マウンドに上がった西武涌井秀章投手(26)は無数の後押しを背に、プレート板を踏みしめた。渡辺監督から用意された復帰後初登板は、同点の9回。「いろんな意味で特別なマウンド」の第1球は、こん身の144キロ直球だった。

 2軍での実戦登板が決まった翌日の17日、1軍マウンドを想像する涌井の心を支配したのは、2つの心情だった。

 涌井

 マウンドに上がった時に、どういう反応なのかなと。ブーイングが起こるかもしれないですし、歓声で迎えてくれるかもしれない。正直、不安でもあるし、楽しみでもあります。

 週刊誌に報じられた女性トラブルで、5月22日に出場選手登録を抹消。シート打撃など実戦形式での登板も許されない、極めて厳しい「謹慎」にもめげなかった男でも、復帰のマウンドだけは未知だった。「すごかったですね。いろんなことを考えたけど、大歓声で良かった」。試合後の安堵(あんど)した姿は、偽らざる本心だった。

 シート打撃2度、降雨コールドを含め、2軍で2試合投げただけのぶっつけ本番。無失点に抑えたのは、エースの意地だった。20球中14球が直球を占めたように、野球への“真っすぐ”な気持ちを込め、力で押した。茶髪だった髪を黒く染め、身を清めたエースの復帰に、12球団ワーストの防御率だった救援陣も5イニング無安打無失点リレー。守護神涌井を中心に、強固なリリーフ陣を形成する。【久保賢吾】