中日高木守道監督(70)が不振の森野将彦内野手(33)に究極のカンフル剤を用意した。17日のオリックス戦でプロ1号を放った高橋周平内野手(18)だ。「コーチからは周平を使いましょうとの声もある。状態を見てアカンとなれば周平を使いますよ」。23日から始まる北陸での広島2連戦に備え、名古屋から特急しらさぎに揺られて3時間40分。到着した富山で、非情の同門バトルを指令した。

 東海大相模出身の森野と東海大甲府出身の高橋周。ともに同じ村中秀人監督から指導を受けた縁で、森野は高橋周の世話役を買って出た。同じ左打ちの三塁手で、森野にとっては15学年下の後輩。その師弟関係に遠慮なく、競争原理をぶつけてきた。

 今日23日は森野が三塁で先発するが、結果が出なければ高橋周が取って代わる。規格外のドラフト1位とはいえ、森野には負けが許されない戦い。将の狙いはプライドへの点火だ。

 この日、理想の打順に「3番森野、4番和田、5番ブランコ」を挙げた。森野には「ケンカ腰でやるぐらい気持ちを出してくれたら、見る方も期待できる」。打席で気迫を全面に出すことが復活への近道とし、あえてライバルに同じ村中門下生を指名した。

 富山での全体練習で黙々と打ち込んだ森野は「オールスターの前までには成績を残す」と後輩に負けるつもりは毛頭ない。高橋周はこの日も右翼守備を兼任。「チャンスをもらえたらチームに貢献したい」と大先輩から三塁を奪い取る意気込みだ。守道流のスパイスが森野の持ち味を引き出すか。注目のリーグ戦再開だ。【松井清員】