<阪神7-3DeNA>◇23日◇甲子園

 大黒柱の真骨頂を見せつけた。阪神先発能見篤史投手(33)が聖地で踏ん張る。意地、プライド、責任感…。1回2死から中村に左翼へ先制ソロ弾を浴びたが、直後に打線が反撃する。3回までに大量7点の援護。この状況に発奮しないはずがない。4回以降は毎回、得点圏に走者を出したが必死に耐えた。ベンチで勝利を見届け、自然と感謝の言葉を口にした。

 「野手が点を取ってくれてね。『野手に助けられた』のひと言だったと思います」

 4回1死二塁。ラミレスを2球で追い込むとフォークの連投だ。最後は外角直球で右飛に抑えた。前夜、決勝打の筒香にも低めに配する。外角に沈むフォークで遊直に封じた。6回に2点を失ったが、序盤の援護に守られた。

 7回3失点の力投で、岩田と並んでチーム最多の5勝目。5月27日西武戦(甲子園)以来、約1カ月ぶりの白星だった。9日オリックス戦の試合後には、マートンの暴言騒動で“名前”が挙がってしまった。最近3試合の登板は、白星から見放された。鬱憤(うっぷん)を一掃した左腕に、藪投手コーチも労をねぎらった。

 「最初から良かった。早めに点をもらって、楽に投げられた。腕の振りが、すごくシャープだった」

 能見の大きな特長の1つが左腕の振りだ。2月の沖縄・宜野座キャンプ、公式戦でキャッチボールのパートナーを務めてきた久保も舌を巻く。「何と言っても腕のしなりですね。スイングスピードが速い。どんな距離でも一定の速さでビュッと来る」。距離が近づけば腕の振りが緩むケースも多いが、いつでもムチのようにしなる。この日は本調子ではなくとも、しっかり腕を振るから、打者も立ち遅れた。

 交流戦からの流れでは、岩田やスタンリッジが登板順は先だった。今回は能見が定期的な中5日の間隔を守って先に登板した。信頼と期待を背負う左腕がリーグ戦再開の初陣で息を吹き返した。【酒井俊作】