<阪神5-2DeNA>◇24日◇甲子園

 阪神5割復帰の使者はマット・マートン外野手(30)だ。1番右翼で先発し、初回いきなり2号ソロ。66打席ぶりの1発が、自身6本目の先頭打者弾となった。これがきっかけとなり、初回に3点、2回に2点。前回ノーヒットノーランをやられかけた天敵三浦を序盤で攻略した。これで、引き分けた3位ヤクルトと同率となり、勝ち数の差で4位。見えた、Aクラス!

 1回表のピンチをしのぎ、ホッとひと安心。そんな余韻に浸る暇もなく、マートンが電光石火の1発を決めた。1回裏、先頭で1ボール1ストライクからの3球目。三浦の内寄り高め138キロ直球をひっぱたいた。飛球は浜風にも乗り、左翼フェンスを越える。「オオキニ~」。モヤモヤを吹っ切るような弾道だった。

 和田監督

 マートンの1発が起爆剤となって火を付けてくれたね。

 5月25日ソフトバンク戦以来の1発は今季2号。甲子園では12年初アーチとなる。先頭打者弾に限れば自身6本目。昨季6月11日の西武戦以来、約1年ぶりの瞬殺弾だ。チームはマートン弾から初回に3得点、2回に2得点。1番打者に復帰して3戦目、火付け役の任務を完璧に遂行した。

 「15センチの壁」と戦っている。シーズン最多安打の日本記録保持者がまさかの不振。謙虚で有名な男が明らかに広いストライクゾーンに苦しみ、いら立ちを隠せない場面も多々…。「飛ばない」統一球と格闘する中、実は切実な悩みを抱えていた。変化球の曲がりに違和感を覚えていたという。

 マートン

 変化球の曲がりが大きいように思う。周りから見れば、ちょっとの違いだと思うかもしれないけど、その変化でバットの芯に当たるか、詰まるかが変わる。15センチ違えば大きな違いが生まれてしまう。縫い目の影響なのかとか、科学者になって調べたいぐらいだよ…。

 6月上旬、そう明かした。そんな苦悩の最中、9日オリックス戦後に暴言騒動が起こる。相当なストレスがたまっていたのは間違いないが、黙々と練習に励んだ結果、ようやくトンネルの出口が見えつつある。

 交流戦明けから登場曲を変更。今季から使用するPhillips

 Craig&Deanの「SAVED

 THE

 DAY」を、昨季まで使用したKutlessの「Strong

 Tower」に戻し、前日23日DeNA戦では14日ぶりの安打&猛打賞。そして先頭打者弾だ。曲がる変化球を懸命に見極め、2連勝をけん引。申し訳なさそうに「ゴメンナサイ…」と多くは語らなかったが、復活の予感が漂い始めている。

 チームはついに借金完済。5割復帰で逆襲の準備を整え、名古屋→東京→松山→東京と2週間の遠征に旅立つ。

 和田監督

 やっとスタートラインに戻った。これからです。(遠征から)戻ってくるまでに貯金して、前半戦ラストスパートのつもりで頑張りたい。

 悩めるM砲に明るい光が差し込み、虎が体勢を立て直した。【佐井陽介】

 ▼阪神が2試合連続で初回に3点以上取ったのは、08年8月3、4日横浜戦(横浜)以来4年ぶり。初回の5安打は今季初で、11年9月19日広島戦(マツダ)以来。2試合連続の複数本塁打は、4月4日ヤクルト戦(新井、ブラゼル)と5日ヤクルト戦(ブラゼル2)に次ぎ今季2度目。甲子園に限ると、10年9月19日巨人戦(マートン、ブラゼル)、20日巨人戦(林威助、城島)以来2年ぶり。

 ▼阪神が三浦から今季3度目の対戦で初勝利。球団では5番目に多い通算45勝を許しており、今季も2勝を献上。前回対戦の5月12日(横浜)は8回までノーヒットノーランに抑えられ、9回先頭桧山の安打で記録を逃れていた。

 ▼マートンは三浦に対し昨季まで27打数9安打の打率3割3分3厘、4打点、0本塁打。今季は4打数0安打に抑えられていたが、2度目の対戦で仕留めた。先頭打者弾6本は球団助っ人史上最多。