<広島5-2巨人>◇26日◇マツダスタジアム

 鯉のID砲がさく裂した。広島堂林翔太内野手(20)と岩本貴裕外野手(26)がマツダスタジアムで初のアベック弾を飾った。1回2死三塁から岩本が右翼へ先制3号2ラン。4回1死から堂林も7号決勝ソロを運んで巨人を粉砕。岩本は6月の打率は4割2分1厘と好調を維持し、堂林はここ5試合で4本目の1発。新時代を担う好調2人の活躍が勝利を引き寄せた。

 広島の強力な「ID砲」が巨人を撃破した。同点の4回1死走者なし。2ボールから堂林は、直球一本に絞っていた。「ストレートを1、2の3で、前で打ちました」。ホールトンの外角高めに逆らわなかった。堂林特有の右方向へ伸びる打球は、広島ファンの待つ右翼スタンドに飛び込んだ。今季7本目で初の本拠地弾が決勝弾になった。

 堂林

 やっと出ました。ずっと、打ちたいと思っていましたので。今までで一番良い一周だった。

 ファンの声援を浴びて、ダイヤモンドをゆっくり駆け抜けた。ここ5試合で4本目と、量産態勢に入っている。

 岩本

 堂林が打つと、うれしいし、がんばろうと思う。

 4番岩本も大暴れした。1回2死三塁、1ボール2ストライクと追い込まれながら、内角直球をフルスイング。右翼スタンド中段に飛び込む、先制の2ラン。さらに、5回には1死二塁から右前適時打を放つなど、4打数3安打3打点の活躍を見せた。14試合連続安打で、今月の打率は4割2分1厘。月間MVPも視野に入るが「それはないです。堂林でしょ」と、今月5本塁打の後輩を立てた。

 6月16日西武戦(西武ドーム)以来のアベック弾だ。広島の将来を担う2人は、グラウンド外でも名コンビだ。22日の夜、遠征地の富山で食事をともにした。偶然にも、富山に訪れていた堂林の中京大中京時代に監督を務めた大藤敏行氏(50)が合流。大藤氏が岩本に「良い体をしているね」と尋ねると、堂林は「プニョプニョですよ」と先輩のおなかをつまみながら笑った。信頼し合う2人だからこそできる掛け合いだ。

 初めて2人同時のお立ち台では“見せ場”はなかったが、またすぐにチャンスは訪れるはずだ。【鎌田真一郎】

 ▼堂林が勝ち越しの7号を放った。巨人戦、本拠地のマツダスタジアムで打った本塁打は、ともにプロ入り初めてだ。5月終了時には2本の堂林だが、これで6月は5本目。6月の本塁打はバレンティン(ヤクルト)の6本に次いでセ・リーグでは2番目に多い。この日は右方向への1発。1号からの方向は中→左→左→右→右→左→右。セ・リーグで逆方向へ流した本塁打が3本以上は長野(巨人)4本、バレンティン3本、堂林の3人しかいない。