<西武10-5日本ハム>◇6月30日◇西武ドーム

 西武が統一球を打ち砕く逆転劇で、4月3日以来となる単独4位に浮上した。5点を追う6回裏、浅村、大崎の連続適時打などで日本ハム吉川をKO。さらに同点として2死満塁の場面で、ヘルマンに来日初アーチとなる満塁弾が出て勝ち越した。統一球導入後の1イニング9得点は、11年ヤクルトの10得点に続いて2度目という珍事。投打がかみ合い、Aクラス猛追の勢いが加速した。

 走りだす必要はなかった。西武ヘルマンは打球の行方を見届けると、悠然と歩き出した。6回、同点に追いつき、なおも2死満塁。カウント3-2から3球ファウルで粘った後の139キロ直球を左翼席へ放り込んだ。「満塁で追い込まれていたので真っすぐが来ると思った」と、読み勝ちで来日1号をマークした。俊足が武器のアベレージヒッターから生まれた満塁弾に、渡辺久信監督(46)も「ビックリした」と驚きを隠せなかった。

 大量9得点で5点差をひっくり返した。統一球導入後、1イニング9得点以上は両リーグ通じて2度目の快挙。主砲中村をケガで欠く布陣に加え、相手は試合前まで防御率トップの日本ハム吉川だっただけに何倍もの価値があった。この回先頭で四球を選んだキャプテン栗山は「(吉川は)欠点がない投手だけど、走者が塁に出ると制球が乱れるところがある。唯一のスキをついていけた」と振り返った。中盤、球の精度が落ちたこともあり、この四球をきっかけに一気に畳み掛けた。

 試合前のミーティング通り、打席では「好球必打」を徹底した。1死満塁から、浅村が2球目の144キロ直球を引っ張り左前適時打をマーク。続く大崎も2球目を右越え2点二塁打として追撃。4球で3点を奪い、吉川をマウンドから引きずり降ろした。浅村は「ストレートもスライダーもいいから、追い込まれてから対応するのは難しい。初球から甘い球があれば振っていこうと思った」と、注文通りに攻略した。

 豪快な逆転勝ちに、渡辺監督も目尻を下げた。「それぞれが役割を果たしてくれたね。4番が絶好調だから、周りの脇役もあまりプレッシャーを感じずにやれているのかな」と分析した。中村の代役で4番に座る中島が、2試合連続となる7号ソロを含む3安打で打線を引っ張った。

 中島は「だんだん上と詰まってきましたね。これから面白くなる」とニヤリ。昨年9月に19勝5敗の快進撃でクライマックス・シリーズに滑り込んだ爆発力は今年も健在。4月3日以来の単独4位で、本命がジワリ浮上した。【鳥谷越直子】