広島ブラッド・エルドレッド内野手(31=3Aトレド)が6月30日“驚弾”デモを行った。広島市内のマツダスタジアムで、首脳陣の見守る中、来日初のフリー打撃を実施。バックスクリーン左への推定140メートル弾を放つなど、2本を柵越えさせた。時差ボケや調整不足の中、驚異のパワーを発揮。6日ヤクルト戦(マツダスタジアム)でのデビューに向け、上々の船出となった。

 うわさ通りのパワーだ。チームの試合前練習開始前、エルドレッドは雨が降りしきる中、ホームベース後方3メートルに設置された打撃ケージに入った。周囲を驚かせたのは、フリー打撃を始めて22球目。快音を残した打球は、センター付近で練習を行う投手陣の頭上を越えて、バックスクリーン左の広島名物もみじまんじゅうを製造販売する「にしき堂」の看板付近に着弾した。推定飛距離140メートル。見守った野村監督ら首脳陣の目もくぎ付けになった。

 35スイングで、安打性の当たりは2本の柵越えを含め13本。そのうち、7本が右方向の打球と、広角に打ち分ける器用さも見せつけた。

 エルドレッド

 何本か良いホームランが出て、良い当たりもあった。体調が整えばもっと強いスイングが出来るよ。

 新助っ人は、さらなる“驚弾量産”に自信を見せた。この日は、来日直前に友人と練習をして以来、3日ぶりの打撃だった。さらに、フロリダから丸1日の空路移動。14時間の時差は、想像以上に大砲の体に負担を与えていた。

 エルドレッド

 時差ボケがひどい。寝られていないし、体がフワフワ浮いている感じだね。コンディションはきついよ。

 前夜は新しいチームメートの試合をテレビ観戦しようとしたが、2回まで見たところで睡魔に襲われてしまったという。悪コンディションでもパワーを見せつける姿に、首脳陣は期待を隠さない。高野手チーフコーチは「フォーム的に問題ない」と評価。ニック並みのパワーかと問われ「そうだね。あとは試合でどうか」と話した。

 明日2日まで1軍本隊とともに練習を行い、3日のウエスタン・リーグ中日戦(由宇)で実戦デビューする予定。6日ヤクルト戦(マツダスタジアム)での1軍デビューに向け、1歩前進した。【鎌田真一郎】

 ◆ブラッド・エルドレッド

 1980年7月12日、米フロリダ州フォートローダーデール生まれ。フロリダインターナショナル大から、02年ドラフト6巡目でパイレーツに入団。05年にメジャーデビューし、55試合で12本塁打をマーク。メジャー通算90試合に出場し、打率2割3厘、15本塁打、34打点。今季は3Aで63試合に出場し、打率3割5厘、24本塁打、65打点。196センチ、122キロ。右投げ右打ち。