<ヤクルト4-6阪神>◇6月30日◇神宮
阪神が必死のパッチの継投で逃げ切った。福原が腰痛で離脱し、守護神藤川もいないリリーフ陣。和田豊監督(49)は1点リードの6回から渡辺を投入。2イニングを託し、加藤、榎田とつないだ。前夜は5点のリードをひっくり返されており、ハラハラ、ドキドキの綱渡りリレー。一丸で勝利をつかむしかない。
和田阪神が綱渡りのような継投でピンチを脱した。ブルペンを支えてきた藤川と福原が故障で離脱。この日は先発秋山が5回4失点で降板し、苦戦は必至だった。どうする?
指揮官は腹をくくった。
和田監督
綱渡り的なところだったが、今は相手打線の打順、右左でいかないといけない。加藤は後ろで一番振れて、状態もいい。この間に筒井も復調してもらって、全員でやりくりしていく。特に渡辺が2イニングを踏ん張ってくれた。
前日のゲームで腰痛を訴えた福原に代わり、緊急登板した渡辺が2戦連続のスクランブル発進。2回を打者6人でピシャリと抑えた。「何年もやっていれば、こういうことは普通のこと」。仕事人のクールなセリフは心憎い。次の一手は、意表を突くものだった。2点リードの8回に加藤を抜てきした。10年オフに横浜から戦力外通告された左腕が重要なイニングで仕事を果たす。2四球を与えたが、粘りの投球で本塁は踏ませなかった。「僕は与えられたところでやるだけ。チームが勝ってよかった」。登板過多で調子を落としてきた筒井の代役で、価値あるホールドを記録した。
試合前の外野センター付近には、緊迫した雰囲気が漂っていた。練習前に投手陣が集まり、緊急ミーティングを行った。「もう1回、ふんどしを締め直そう!」。ブルペン担当の山口投手コーチがハッパをかけた。前日は5点リードを守れずに、痛恨の逆転負け。福原離脱のショックも重なった。敗戦後のコーチ会議では監督からもブルペンの奮起を促す言葉があったという。窮地を乗り越えるには、結束を固めるしかなかった。同コーチは「渡辺が2回投げたから、次は鶴、二神が投げるかもしれない」と総力戦の覚悟を見せた。
最終回は榎田が三振で締めて、今季2セーブ目を挙げた。逆転負けの無念をリリーフ陣が晴らした。前夜はスタンドから罵声を浴びたが、この日は称賛の和田コールがあった。「えらい違いやな」。指揮官は苦笑まじりに言った。勝てば官軍。断崖絶壁の綱渡りリレーで、大きな白星を得た。【田口真一郎】



