楽天田中将大投手(23)が6日、右脇腹付近に痛みを訴え、予告されていた西武8回戦(西武ドーム)の先発を緊急回避した。昼すぎにかけて痛みが強まり、試合開始の約1時間前に変更が決まった。今季は腰痛で4月末から約1カ月間離脱。6月は3勝と本来の投球を取り戻して、この日発表の月間MVP賞に輝いたばかり。再びの長期離脱とならないように大事を取った形で、出場選手登録は抹消しない予定。とはいえ、約4年ぶりの予告先発の変更にスタンドはどよめいた。
突然の場内アナウンスに、スタンドがどよめいた。ビジターの楽天が打撃練習を終え、先発投手発表の時間だった。「田中投手が右肩(実際は右脇腹付近)の違和感のため、本日の先発は塩見投手となります」。楽天ファンはもちろん、西武ファンからも驚きの声。ざわざわした空気が、しばらくは消えなかった。
ギリギリまで模索した結果だった。田中はこの日の起床時点では、特に痛みは訴えていなかった。だが、午後2時50分の宿舎出発時刻が近づくにつれ、痛みが強まった。首脳陣と話し合い、まずは練習で様子を見ることに。アップ、キャッチボールなど通常通り実施。気持ちを切らすことなくロッカー室に引き揚げた。
一方で、首脳陣は、練習中に塩見に先発の可能性を伝達。スタメンマスクも、当初はルーキーの岡島だったが、塩見と実戦でバッテリーを組んでいないことを配慮。田中が先発回避の場合は、この日1軍復帰したばかりの嶋とすることを決めた。両構えで事態に備えた。
最終的には「キャッチボールは問題ないが、10の力で投げてピッときたら怖い。大事を取って」(佐藤投手コーチ)回避を決めた。予告先発が試合当日に変更されるのは、08年8月5日に楽天片山がドミンゴに代わって以来だった。午後5時前に、星野監督が西武渡辺監督に直接電話し事情を説明。了解を得た。
田中は試合中にトレーナーと宿舎へ戻った。硬い表情は崩さなかったが、質問にはしっかり答えた。
田中
チームからストップをかけてもらったということです。首脳陣の方と相談して「(試合で)投げてからおかしくなって、また長く離れることになったら困るから、やめておこう」と言っていただきました。
見通しを聞かれ「どうなのかは、まだ分かりません」と慎重だったが、「自分の中では、そんなにひどくないのではないかと思います」と締めた。ただ、今季は痛みとの闘いが続く。春季キャンプ中に右肘痛。3月には右背筋痛と発表されたが、実際は右脇腹を痛めた。4月末からは腰痛で約1カ月離脱した。5月末に復帰し、徐々に球威が回復。自身7度目となる月間MVP賞に輝いた直後のアクシデントとなった。
出場選手登録について、星野監督は「(抹消は)しない。投げさすよ」と明言した。前半戦は11試合を残す。回復具合を見て、先発日を決める方針だ。Aクラス生き残りには、エースの力が不可欠。大黒柱を襲った事態に、緊張感が走った1日だった。【古川真弥】
◆予告先発変更メモ
発表後は原則として変更できない。やむを得ない事情で変更する場合は、できる限り早く相手球団およびリーグ運営部へ連絡を取り、相手の打撃練習やラインアップ編成などに迷惑をかけないように配慮する。さらに正式な手続きとして、当日球場で審判員立ち会いのうえ、監督が相手監督へ直接申し出る。また、メンバー交換後に変更された投手は、その日を含み3日間、試合に出場することはできない。パ・リーグで予告先発の変更は、08年8月5日に急性へんとう炎と熱中症で楽天片山がドミンゴに代わって以来。ほかに楽天では07年3月31日に岩隈が背筋痛で川岸に変更している。



