本拠地デビューもニコニコ投法だ。ソフトバンクのドラフト1位右腕武田翔太投手(19)が登板濃厚な14日ロッテ戦(福岡ヤフードーム)でも笑顔を絶やさず2勝目を狙う。初登板初勝利を挙げた7日の日本ハム戦では試合中の笑顔に球界OBや関係者から「相手に失礼」と指摘されていた。

 登板翌日に自分の映像を見た武田は「結構笑っていましたね。周囲から言われたからって、ムキになるようじゃダメ。投球も心理学、将棋と同じです」と得意分野に重ね自分を見失うことはなかった。

 父重次さん(59)が「ケンカするときもいつも笑顔。悪気はないんです」と説明するように、真剣な時も笑っているように見える優しい顔をしているだけだ。斉藤投手コーチも「照れ隠しや打たれてニヤニヤしてるんじゃない。今はいいんじゃないか」と相手への敬意はもちろん必要だが、自然な笑みと判断し禁止令は出さない。

 視界も良好だ。6月26日2軍中日戦で初めて本拠地のマウンドに立ち、ドームの暗さに慣れず捕手のサインが見にくかった。視力は問題ないが、コンタクトを使用することで、もう暗くても大丈夫だ。

 武田は「札幌と今度は声援が逆ですからね」と鷹党の大声援を楽しみにしている。前回は6回93球で降板。今回も80球前後のマウンドとなりそうだ。斉藤コーチは「球数は望まない。力いっぱい、いけるところでやめさせる」と全力投球で最大限に能力を引き出す。ブレない心のニコニコ投法でチームにもファンにも笑顔を届ける。【石橋隆雄】