<阪神1-2中日>◇11日◇甲子園
世代最後の大物が、勝った。中日の2年目左腕、大野雄大投手(23)が今季初登板で待望のプロ初勝利を挙げた。プロ入り2度目の登板となった阪神戦。最速147キロの真っすぐを主体に5回1/3を7安打1失点。京都外大西時代は甲子園を沸かせた左腕が、聖地でよみがえった。同世代の斎藤佑樹ら10年ドラフト1位組では最も遅い白星は、運命的なものでもあった。
“世代最後の男”がプロ初勝利を挙げた。試合終了の瞬間、こわばっていた表情はようやく笑顔に変わった。ベンチを飛び出し、ウイニングボールを受け取ると大事そうにポケットにしまった。1回に1点を失ったが、終わってみればそれ以降はゼロ行進。最速147キロの直球で押しまくった。「最初は何が何だか分からなかった。2回以降は落ち着いて、谷繁さんのミット目がけて思いっきり投げました。ウイニングボールは母親に渡したい。ここまで育ててもらったんで」と言葉を選んだ。
2年目だが、実に長い道のりだった。佛教大時代は、日本ハム斎藤、巨人沢村、西武大石らと“ビッグ4”と呼ばれた。大学時代に左肩を痛めた影響で、1年目のキャンプはリハビリの日々。マイナスからのスタートだった。10月14日のプロ初登板では巨人に4回7失点。同世代のルーキーが次々とプロ初勝利を挙げる中で屈辱を味わった。ただ、「これが今の実力」と現実に目を背けることはなかった。テレビや新聞に載る同世代のニュースはチェックしていた。
苦悩の末にたどりついた初勝利には、運命的なものを感じていた。阪神の本拠地甲子園には、憧れの人がいた。入団する際、4つの背番号を提示された。その中で選んだ22にはこだわりがある。「藤川球児さんのような絶対的な存在になりたい。あのストレートは投手なら憧れます」と言うように、関西出身で子どもの頃から大の阪神ファン。大学時代は野球部のチームメートと甲子園に通い、藤川の投球を食い入るように見つめた。
スポットライトを浴びるライバルたちに、後れは取った。だが、負けるつもりはない。ようやくスタートラインに立つことができた。帰りのバスに乗り込む際に「絶対に負けたくない。ちょっとずつでもいいんで追いついていきたい」と語気を強めた。直球が戻りつつある。そして自信も、よみがえった。【桝井聡】
◆大野雄大(おおの・ゆうだい)1988年(昭63)9月26日、京都市生まれ。京都外大西では2年夏、3年春に甲子園出場。京滋大学リーグの佛教大では3年春にMVPとベストナイン。4年時に左肩を痛めるも10年ドラフト1位指名で中日入団。昨季10月14日巨人戦でプロ初登板。先発し4回7失点、自責6で敗戦投手となった。183センチ、78キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1350万円。



