<中日1-2巨人>◇14日◇ナゴヤドーム

 待ちに待った復帰弾だ。10年ぶりに古巣に復帰した中日山崎武司内野手(43)が3回に1号ソロをぶっ放した。43歳8カ月のアーチは球団最年長。今季139打席目の1発は、プロで最も遅いペース。試合は9回に守護神岩瀬仁紀投手(37)が逆転を許して、チームのナゴヤドーム連勝が14でストップしたが、苦しんでいたベテランが壁を乗り越えた。

 きれいな放物線だった。3回。先頭で打席に入った山崎の目はぎらついていた。巨人ホールトンの初球チェンジアップ。抜け気味に入ってきた内角球を見逃さなかった。滞空時間の長い独特の打球が左中間席中段に吸い込まれた。ヤマを張るタイプの大砲にとっては、してやったりの今季1号だった。

 「長かったねー。長かった。何より1本打たないと始まらない。ドラゴンズに帰ってきての1本。ありがとうございます。うれしいね。すぐ2本目打ちたいね。カーブが来るかなと思って緩い大きなカーブをひっぱたこうと思っていたら、ちょうど(緩い変化球が)来た」

 オープン戦では両リーグ最多の4発を放ったが、シーズンでアーチを架けられなくなった。ブランコとの競争に勝ち開幕は4番で迎えたが、ベンチスタートの試合が増えていった。5月にはインフルエンザに感染し、戦線離脱。もどかしい日々が続いていた。

 浮上のきっかけをつかんだのが今週初めの阪神戦だった。「ヒットが出てないときはどうしても大きくタイミングが取れなくなってる」。ビデオをみてしっかりと「ため」を作るフォームに修正した。前日13日には16打席ぶりに安打が出た。復帰弾への予感は高まっていた。

 久しぶりの本拠地お立ち台は持ち越しになった。「お立ち台に上がっていろいろとかましてやろうと思ってたけど、また次だね」。主砲ブランコがケガで離脱。土壇場で逆転される悔しい敗戦。そんな試合で山崎の復帰弾がチームの救いだった。【桝井聡】

 ▼43歳8カ月の山崎が今季1号を放ち、91年から22年連続で本塁打をマークした。連続シーズン本塁打の記録は野村(西武)の25年で、22年以上は8人目。43歳8カ月は11年佐伯の41歳5カ月を抜く球団最年長本塁打で、44歳シーズンに本塁打を打ったのは今年金本(阪神)に次いで7人目。139打席目のシーズン1号は、97年の91打席目を超え、自身最も遅いペース。