<広島3-0中日>◇16日◇マツダスタジアム

 広島がついに借金を完済した。大竹寛投手(29)が、中5日で今季最多タイの117球を投げ8回4安打無失点の好投で8勝目を挙げた。大竹、前田健、野村の「新3本柱」を軸に、5月29日には最大11あった借金を返済。7月は10勝2敗とハイペースだ。3位ヤクルトに1ゲーム差と、Aクラスも射程圏だ。

 大竹は中日打線を術中にはめていった。直球は最速149キロをマークしたが、変化球で早打ちを誘っていく。8回までに三振はわずかに3つ。「目指すところです」と内野ゴロを16個も打たせた。中5日での登板にもかかわらず、今季最多タイの117球。5月11日中日戦から6連勝で8勝目を挙げた。「結果も考えられなかったスタートだったのに、それが8個も勝ててうれしい。これが1年通してどうなるかと思っている」と個人の結果に浮かれることはない。

 エース前田健が9勝、防御率トップの野村が7勝と、「3本柱」がチーム5割復帰の原動力となった。大竹は「チームに勢いもつくし、切磋琢磨(せっさたくま)しているところもある」と言うように、3人そろって球宴出場も決めた。大竹にとっては、3年ぶり3度目の晴れ舞台。09年の球宴が、自分を変えた。43イニング連続無失点の球団記録をマークしたシーズンは、ファン投票と選手間投票でトップ選出された。「タイトルも無縁だったし、自分にも自信を持てないでいた。このときから、少し自信を持てるようになりました」。翌年に右肩を故障。2年間テレビで見ていた晴れ舞台へのカムバックに喜びを感じている。

 チームにとっても大きな勝利だった。昨年はCS進出に向け、後半戦で4度も阻まれ続けた「5割の壁」。7月以降でも4度挑戦し、すべて黒星。自らの好投で鬼門を突破した大竹は「5割の壁といわれてきたので。5割になったのはうれしいけど、もっと上を目指しているし、みんなもそう思っている」と冷静さは失わない。

 5月29日には最大11あった借金を返済。3位ヤクルトに1ゲーム差と迫った。残り2試合で1勝すれば、02年以来の5割ターンも実現する。コイはまだまだ上り続ける。【鎌田真一郎】

 ◆91年3本柱

 広島が最後にセ・リーグを制した91年は山本浩二監督のもと北別府、川口のベテランと2年目佐々岡が活躍。チーム74勝のうち北別府11勝、川口12勝、佐々岡17勝と3人で40勝稼いだ。佐々岡は最多勝などタイトルを総なめにし沢村賞。病気療養する津田に代わる守護神として大野は26セーブを挙げた。