<ヤクルト2-4中日>◇5日◇神宮

 これで鬼門を完全突破だ。守道竜が3年ぶりに神宮で連勝&カード勝ち越しを決めた。主役はプロ初の5安打&4得点の1番大島洋平外野手(26)だ。初回の二塁打を皮切りにヒットパレード。前日から、6打席連続安打で全4得点のホームを踏んだ。首位巨人と4・5差は変わらないが、3度目の挑戦で今季最多の貯金16に到達。高木監督も4勝1敗1分けで終えた東京遠征に胸を張った。

 1番大島のバットが打ち出の小槌と化した。初回の二塁打を皮切りにヒットパレードで5打数5安打。荒木が送り、和田と森野がかえすパターンもズバリで、全4得点のホームを踏んだ。「野球人生でこんなに打ったのは初めて。(同学年の)山内が先発で気合が入ったし、塁に出ることだけを心がけました」。5安打が人生初なら4得点もプロ3年目で初の勲章だった。

 大島も鬼門神宮への借りがあった。初戦の走塁ミスに続き、前日の2戦目も享栄の後輩八木のけん制でアウトになった。ともに初回の凡ミス。不安定な先発をKOし損なって苦戦する要因となり、高木監督も怒った。名誉を挽回できるのは、3戦目のこの日しかなかった。

 「2試合よくないプレーがあったので集中していきました」。前日の9回、最終打席から6打席連続安打の離れ業。打率もチームトップで10傑4位の2割9分6厘に上げ、初の3割も射程圏だ。盗塁19個もリーグ最多で6戦連続得点。50試合打点なしの珍記録も伸びたが、チーム3年ぶりの神宮連勝&カード勝ち越しで鬼門突破に貢献した。

 快勝に沸く三塁ベンチ。それでも「おい守道、今日のスタメンは(前日のヒーロー)野本だろ!」などと飛んできたヤジに高木監督はブチ切れた。「うるさいわ!

 勝った時ぐらい、文句言わんといてくれ!」。だが、声を荒らげたのも一瞬で、あとはご満悦モード。「大島があれだけ打ってくれたら。5本なんて打てんで」。首位巨人は4・5差のままだが、東京遠征を4勝1敗1分けで終え、貯金は今季最多の16に到達。逆転3連覇へ、もう怖いモノはない。【松井清員】