<オリックス0-2日本ハム>◇9日◇京セラドーム大阪

 高校時代に“埼玉のダルビッシュ”の異名を取った日本ハムの高卒3年目、中村勝投手(20)が自身初の2連勝を飾った。クールな表情で緩急を操る長身右腕は、7回4安打無失点で救援陣へ勝利のタスキをつないだ。8月以降に1軍へ昇格し、5度の先発で防御率0・84と抜群の安定感を誇る。V戦線で輝く期待の新星からの無失点リレーで、チームは貯金を再び10に戻し、首位西武にゲーム差なしの2位と迫った。

 本家ダルビッシュも顔負けの堂々たるマウンドさばきで、日本ハム中村勝投手(20)が淡々とオリックス打線を封じてしまった。ストライクも取れる90キロ台のカーブのおかげで、130キロ台の直球が打者にとっては150キロ台の剛速球にも見える。唯一、得点圏に走者を背負った7回も「一番コントロールできた」という幻惑の武器で、バルディリス、スケールズの両助っ人を凡打に打ち取った。7回4安打無失点で自身2連勝。「狙われているとは感じたけど(捕手の)要求通りに投げられたのが良かったですね」。正確なコントロールがあったからこそ、緩急の魔術師となれた。

 2月の春季キャンプ中に2軍落ちしてから、徹底的に制球力を磨いた。「左足にしっかり乗れるように始めた」という遠投で体重移動を、ネットスローでは投球フォームを確認した。地味な練習を繰り返すうちに、制球力だけでなく、伸びのある直球がいくようになった。「自分の真っすぐで押せている」。2軍戦でつかんだ感覚は、今季初登板となった8月5日楽天戦で、確信に変わった。

 年明けはダルビッシュや楽天田中らと自主トレを行った。「田中さんとキャッチボールをさせてもらったんですけど、軽く投げているだけなのにボールの回転がすごくきれいなんです」。高いレベルの選手を間近で見ることで、飛躍のきっかけをつかもうとした。ダルビッシュからは肉体の強化方法を学び「全身が強くなったと思う」。貴重なオフを経て、開花の時を迎えようとしている。

 1軍昇格後、5戦連続負けなしの2連勝。32回1/3を投げて3失点。激しい優勝戦線でひときわ輝きを放っている。【中島宙恵】