<巨人6-4ヤクルト>◇21日◇東京ドーム

 優勝を決める。巨人長野久義外野手(27)の執念が、力強く振り切らせた。同点の6回1死満塁。ヤクルト日高の内角球に少し差し込まれた。だが、長野にしては珍しく、球に負けじと強引にいった。打球は左前で弾み、2者が生還した。優勝を決めた決勝打に「いつもは引っ張った打球は少ないですが、球場の雰囲気に乗せられて振り抜くことができた。みんなでチャンスを作ってもらった。何とかかえせて良かった」とホッとした表情を見せた。

 活躍しても大きなことは言わない。「また明日、頑張ります」が口癖だ。これには訳がある。「先のことはあえて言わないようにしています。絶対に分からないですから」。大学、社会人を経験し、3度のドラフトの末に巨人に入団。将来の希望や目標を、うかつに口にしない。「プロは厳しい世界。いつけがをするか分からない。今日けがをしたら、明日は野球ができなくなる」と足元を見つめ、力を付けてきた。

 そんな長野が今季唯一、口にした未来があった。「みんなでビールかけをしたい」。昨季に首位打者を獲得したが、プロ入りから2年間、優勝を逃した。思い描いてきた未来を、自らの一打で現実にした。

 初優勝の感想は「3年目で初めてですのでうれしいです」だった。飾らないシンプルな言葉に思いの丈を込めたのが、長野らしい。そして、こう締めた。「今日、ビールかけの時だけは、優勝に浸りたい」。思い切り勝利の美酒に酔った後、長野はまたすぐに次の夢を描く。【浜本卓也】