<DeNA2-6中日>◇1日◇横浜

 また1歩、高木守道監督(71)に近づいた。中日大島洋平外野手(26)が47年ぶりの偉業に手を掛けた。1回に四球で出塁すると、すぐさま盗塁。3回には勢い余って二塁ベースを飛び出してタッチアウト(記録は盗塁死)になったが、2試合連続で盗塁を決めた。打撃では9回、5打席目でしぶとく中前打を放った。

 「監督にはずっと(盗塁の)サインを出してもらっている。昨日は4本打って今日はタコだと意味がないですから」。これで打率3割5厘と3割をキープ。盗塁はリーグトップの28個。あと2試合を残し、打率3割はほぼ確実だ。他の選手との兼ね合いはあるが、盗塁王も手の届くところにある。2位のDeNA荒波と5つ差をつけている。

 球団史を振り返っても打率3割&盗塁王のダブル達成は、半世紀近くも到達していない。達成者は中利夫、高木守道の2人だけ。もし、大島が達成すれば、高木監督が記録した65年以来、47年ぶりとなる。

 デビューから盗塁数は2年連続でひと桁台だった。走力を評価されながら、本来の力を発揮できていなかった。今年2月の春季キャンプ。井上打撃コーチの橋渡しで元阪神赤星氏(評論家)と話をする機会があった。球場の三塁ベンチ前で開かれた即席の盗塁教室。一連の流れからスタートを切る大切さを説かれた。

 高木監督は「(盗塁は)いけ、いけと言ってるのに慎重になっとる」と辛口だが、出塁すればノー文句で盗塁サインを出す覚悟だ。打率3割についても「もう大丈夫でしょう。打つよ」。この記録の重みを知る男からも太鼓判を押された。【桝井聡】