ああ、この絡みも見納めなんて…。引退する阪神金本知憲外野手(44)の「新井イジリ」もカウントダウンに入った。右肩の不調で登録を外れていた新井が1軍に合流。10月9日、金本の引退試合出場をアピールした。金本4番、新井5番となる見込み。甲子園で顔を合わせた師弟はさっそく絶妙の舌戦を展開。アニキを送り出す舞台に役者がそろってきた。
秋空の甲子園で汗を流した新井が、遠くをみるように放心して明かした。翌日に登録を抹消される9月23日以来の1軍合流。戦列に戻ってきたのは、あの人に頼まれてのことだと振り返るように言った。
「金本さんが『どうしても戻ってきてくれ。そして9日の引退試合に花を添えてくれ』と。そう言うので戻ってきました」
その芝居がかった言い回しに、兄貴分がホロリ…となるわけがない。引退試合を2日後に控えても、フリー打撃に左翼守備と変わらない練習メニューをこなした金本はきつく突き放した。
「新井は来んでいいでしょう。邪魔でしょう。本当、迷惑だわ」
ネタ合わせなしに息のあったコントを演じ、口元を緩めた。金本といえば新井。新井なくして金本なし。お互いに広島から阪神に籍を移しても、ファンや関係者を喜ばせてきた掛けあいが緊急復活!
そんな金本の新井イジリがみられるのもあと数日となった。
新井が登録を抹消したのは4年ぶりのこと。Bクラス確定が目前で若手にチャンスを与えながら、右肩のケアに専念するはずだった。だがアニキのラストゲームをグラウンド外から見ていることは出来なかった。屋外練習を前日再開したばかりでも、甲子園では一塁守備から二塁への送球、キャッチボールをこなした。フリー打撃では左翼に柵越えも運んだ。「右肩は大丈夫、大丈夫。できるだけコンディションを整えるようにもっていってやりたい」と万全の構えだ。
片岡打撃コーチは「ちょっと休んだからおかしくなるような選手じゃないし。状態さえよければ」と言う。ラストゲームで金本は4番左翼でフル出場する。当然、新井も一塁を守り5番に座ってクリーンアップを組むはずだ。打って守って、ベンチに戻れば容赦ない突っ込みと新井の反撃…。これが見納め、聞き納め。金本のラストシーンに、最高の競演者が駆けつけてきた。【町田達彦】



