<セCSファーストステージ:中日6-1ヤクルト>◇第1戦◇13日◇ナゴヤドーム
重いムードを打ち破ったのは中日和田一浩外野手(40)のバットだった。0-0の4回無死一塁。ヤクルト石川のシンカーをつかまえ左翼フェンス上の黒いラバーにぶち当てた。試合を動かす2ラン。6回には全力疾走で三塁内野安打、7回には満塁から右前適時打。V弾を含む3安打3打点と大暴れの40歳は「シンカーが少しうちに入って来た。うちに入ってきた分だけ芯に当たった」。笑顔で手に残る感触を振り返った。
まさかの石川だった。試合後に高木監督は「石川は想定内…ではありませんでした」と苦笑いで明かした。中日はヤクルト1戦目の先発に右投手館山を予想。7番には左の堂上剛を据えたが、マウンドに上がったのは左腕石川だった。ピンチを救った和田は「シーズン中に対戦しているからイメージが変わることはない」とサラリ。熟練の技と経験が竜先勝の突破口になった。
前日12日の練習で和田をキーマンに挙げた指揮官も大喜びだ。自身のポストシーズン初勝利の喜びも相まって「なんと言っても頼れるバッター。今日、ああやって打ってくれたのはこの後も大きい」と絶賛。先発は読み違えたが、ヒーローをズバリ言い当てた。
和田の好きなドラマの1つに「バンド・オブ・ブラザース」という作品がある。第2次世界大戦の米国陸軍の絆を描いたノンフィクションに近いドラマだ。背番号5をつけた頼れる“軍曹”は「(中田賢が)めいっぱいでいっていたから早く点を取りたかった」と、フォア・ザ・チームの姿勢は変わらなかった。
あと1つ勝てば宿敵巨人との挑戦権を得る。高木監督は「早く楽になりたい」と笑いを誘いながら「勝つなら一気に勝たんと不利になる」とゲキを飛ばした。ベンちゃんの一撃で勢いに乗った守道ドラゴンズが、チーム一丸で連勝を狙う。【桝井聡】



