阪神2年目の一二三慎太外野手(20)が台湾ウインターリーグに参加する方向であることが15日、分かった。外野争いのライバルで、同様に派遣予定の中谷将大外野手(19)と技を競う。ルーキー右腕伊藤和雄投手(22)、育成左腕の島本浩也投手(19)も派遣予定メンバー入り。オーストラリアにも3選手の派遣が予定されており、武者修行で一皮むける。

 これぞ期待の表れだ。阪神2年目の一二三に武者修行の場が用意されていた。舞台は台湾だ。11月下旬から約1カ月間開催される、アジア初の本格的なウインターリーグに参加する方向。まだ2軍でも実績を残せていない若虎が、異例といえる抜てきを受けた。

 もともとは東海大相模の甲子園準V右腕。10年ドラフト2位で入団し、右肩痛に苦しんだ結果、11年オフに外野手転向していた。今季はウエスタン・リーグで33試合に出場し、打率1割7分8厘、0本塁打、1打点。目立った成績は残せていないが、潜在能力が高く評価された形だ。

 今月上旬には2軍戦を視察した中村GMが「なかなか、いいセンスをしている。面白いバッターだね」と絶賛。現在開催中の宮崎フェニックス・リーグではクリーンアップも任されている。台湾ウインターリーグはドミニカ共和国からメジャー3Aクラスの選手が参加する可能性もある。高いレベルで各国の若手と切磋琢磨(せっさたくま)すれば、一気に才能が開花するかもしれない。

 一二三以外では、同じ2年目で未来の4番候補・中谷、ルーキー右腕伊藤和、育成左腕の島本も台湾行きのメンバー候補。一方、同じく11月に開幕するオーストラリアのウインターリーグには、柴田、白仁田、藤原の参加が予定されている。この7人中、5人はすでに1軍実績がある選手たちだ。昨オフも秋山、野原将ら少なくとも2軍で実績を残した選手が、ウインターリーグに派遣されてきた。いかに一二三への期待が高いかが分かる。

 宮崎入りする直前、一二三は今秋に向けての誓いを立てていた。「もちろん打撃は一生懸命やらないとダメですけど守備も走塁も。ゲームでの判断とかが難しいです。野手になってから初めての秋ですけど、しっかりやって、実らせたい」。異国の地で原石が磨かれれば、サクセスロード突入も夢ではない。

 ◆台湾のウインターリーグ

 11月下旬から約1カ月間開催されるアジア初の本格的なウインターリーグ。台湾の中華職業棒球大連盟が運営母体となり、日本、台湾、韓国、そしてドミニカ共和国を中心とした中南米地域の選抜4チームが招待される。ドミニカ共和国からはメジャーの3Aクラスの選手が参加する可能性もある。中日吉川らの参加が決まっている。

 ◆オーストラリアのウインターリーグ

 10年にオーストラリア野球連盟とメジャーリーグ機構(MLB)が出資して、本格的なプロ野球リーグとしてオーストラリアン・ベースボールリーグが発足。国内6都市に球団を設置して、11月から翌年2月までリーグ戦を行う。北半球はシーズンオフのため、北米マイナーリーグの選手らが多数派遣される。阪神からは11年に秋山、野原将ら5人が派遣されていた。