<パCSファイナルステージ:日本ハム3-2ソフトバンク>◇第1戦◇17日◇札幌ドーム

 ソフトバンクが痛すぎる逆転負けだ。先発陽耀勲投手(29)は6回まで1安打無失点と、最優秀防御率の日本ハム吉川と互角の勝負。しかし2点リードで迎えた7回に日本ハム糸井に同点2ラン。直後に救援した2投手も打ち込まれ、この回、逆転を喫した。日本ハムにはアドバンテージもあり、いきなり2敗スタートとなった。

 敗者の弁は、シンプルなほど悔しさを語るものだ。帰りのバスに乗り込む直前、ソフトバンク秋山監督が立ち止まり、口を開いた。「あの1発は頭になかった」。好投の陽耀勲を交代するタイミングは確かに難しかった。「そうだな。2点までは…」。“許容範囲”とはいえ、逆転負けへと導かれてしまう、強烈な1発が脳裏から離れなかった。

 陽耀勲は6回まで1安打無失点、打者18人を65球で退けた。2年ぶりのCS登板で演じる一世一代の快投に、打線も7回に2点を援護した。ところが、白星が見え始めたその裏…。先頭打者で実弟の日本ハム陽岱鋼に中前打を許し、1死二塁で糸井を迎えた。それまで2三振に仕留めていたが、4球目、高く浮いたスライダーは右翼席まで運ばれた。

 陽耀勲

 弟に先頭出塁されてちょっとリズムが狂いました。糸井さんのホームランも球が甘いところにいった結果。頑張ってゼロに抑えていこうと思いましたが…。

 当初は初回からブルペン陣を待機させ、9人継投さえ想定していた。制球難、クイック投球難のレッテルをはがす陽耀勲のたくましい姿にベンチが手綱を引くのも、無理はなかった。斉藤投手コーチが「あそこまでだった」と振り返ったように、7回の糸井の対戦を終え、継投に入る判断をしていた。あらゆる要素が集約した“勝負どころ”で、秋山監督も想定外の1発が出た。続く、藤岡、森福も連鎖的に打たれて逆転。ショッキングなイニングだった。

 天国から地獄に突き落とされる、重い黒星で2敗スタート。おまけにファルケンボーグの負傷離脱も決まるなど、短期決戦でいきなり試練を背負った。ファーストステージを1点差の2勝ではい上がったようなしぶとさで、ここから反攻に出る。【押谷謙爾】