<セCSファイナルステージ:巨人3-1中日>◇第4戦◇20日◇東京ドーム

 巨人は、負けたら終わりの崖っぷちの試合。突破口を開いたのは坂本勇人内野手(23)だった。3回1死二塁、真ん中高めにフワリと浮いたカーブをなぎ払った。「マツさん(松本哲)がバントを決めてくれていい流れで入れた。カーブに意識はありませんでしたが自然と体が反応してくれた。先制点が大事だと思っていたので打てて良かった」。左越えの適時二塁打は、チームに勇気を与えた。

 今季は3番として最多安打を放つなど、巨人打線の中心的存在として活躍した。だが、スタメンだけでなく、みんなで戦っている思いがある。最終戦後、坂本は最多安打のタイトルを分け合った長野とともに越智のもとに向かった。黄色靱帯(じんたい)骨化症という背骨付近の靱帯が硬くなり神経を圧迫する病気のため、6月に手術。9月にブルペン投球を再開した先輩の快気祝いの席だった。

 タイトルを祝うのではなく、ようやく練習を再開できるようにまでなった戦友の回復を祝った。後輩の気配りに越智は「うれしいし感謝してます。(坂本)勇人が活躍しだしたのは自分と同じころだったし、活躍を楽しみにしています」と感激し、坂本に思いを託した。

 越智さんの分まで-。言葉にこそ出さないが、坂本のバットには仲間への思いが宿る。敗戦即終戦という大事な試合で打てたのは、チームメートを思う気持ちの強さがあったからか。「いい集中力で、思い切って明日もプレーしたいです」。打棒復活の阿部につなぐ存在として、坂本が逆襲の旗頭になる。【竹内智信】