<セCSファイナルステージ:巨人3-1中日>◇第4戦◇20日◇東京ドーム
中日の勢いを止めたのは苦しんだ男だった。巨人先発沢村拓一投手(24)は7安打されながらも粘りの投球で6回を無失点。クライマックスシリーズ(CS)初勝利を挙げた。レギュラーシーズン終盤に不調に陥り、CSでは先発4、5番手か中継ぎ待機の扱いに。杉内の体調不良もあり、巡ってきたチャンスで、抱えていたモヤモヤを一気に吐き出した。
ヒーローインタビューで沢村が絶叫した。お立ち台に上がると、いきなり「やったぜぇ~!」と、ドヤ顔で大声を張り上げた。負ければ終戦となる大一番で、6回7安打無失点。「完投できれば良かったけど、飛ばしていけるところまで行こうと思いました」と、108球を振り返った。
マウンドでも、気迫むき出しで向かっていった。「技術的に今日明日で劇的に変わることはない。短期決戦ですから日本シリーズに行きたいって気持ちでいった」と、少々高めに球が浮こうが、なりふり構わず強い球を投げ続けた。
ピンチでも同じだった。6回2死満塁で代打山崎を迎えた。カウント2-2から思い切り良く内角に146キロ直球を投げ込み、空振り三振に仕留めた。この日を象徴するような場面をも「その1球で今日の投球を振り返ることはできないです」。それほど気持ちで挑んでいた。川口投手総合コーチは「一番不安視していた投手が一番いい投球をしてくれたよ」とホッとした表情で笑った。
やるしかないと、腹は決まっていた。ルーキーから2年連続2ケタ勝利を挙げたが、ペナント終盤に不調に陥った。先発投手陣でただ1人宮崎に行き、13日の韓国LGとの練習試合を4回無失点と抑えて先発切符をつかんだ。ようやく手にした先発の座は4番手。だが、この日まで「1年間やってきたことを信じてやるだけ。気持ちの高ぶりはなかった」とフラットに過ごした。
そして、一気に爆発させた。「流れを変えるという中で、強い気持ちから野手の方、ベンチ、ファンが、何か感じて明日に行ければ」と、マウンドでは感情をむき出しにした。仲間の好守備にはオーバーアクションで応えた。ピンチを乗り切るたびに意気揚々とベンチに戻った。勝利を呼び込んだ気迫の投球に、原監督も「結果的に0点で抑えた、相手チームの勢いを止めたのは大きい」と喜んだ。
1月のグアム自主トレ中に、ひそかな願望を抱いた。「ファンあってのプロ。喜んでもらえるパフォーマンスをしたい。1年目は遠慮していたので、派手なお立ち台をやってみたい」。そして、この日のお立ち台で、締めも叫んだ。「明日も勝つ!」。初パフォーマンス「魂の雄たけび」でファンを熱狂させ、「気迫の投球」で巨人を踏みとどまらせた。【浜本卓也】



