巨人沢村拓一投手(24)が、伝説の投手になる。6日、都内で、来春ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた強化試合「侍ジャパンマッチ2012・キューバ戦」の日本代表メンバーが発表された。3月の復興支援試合に続いてメンバー入りした沢村の背番号は、同じ姓の“伝説の投手”、沢村栄治が巨人でつけていた「14」に決まった。山本浩二監督(66)は沢村の球威に着目し、16日の初陣で先発起用する方針。巨人では永久欠番を背負った沢村が、3連覇への先陣を切る。
沢村が侍ジャパン初陣の先発を任された。メンバー発表会見では「素晴らしい試合に選んでいただき、光栄に思います。出せる力を全力で出したい」と神妙に抱負を語った。壇上で胸を張り、代表ユニホームをまとった。背中には「14」があった。
同姓の沢村栄治が背負った、巨人軍で初の永久欠番だった。「そうなっていました」と言うように、偶然ではあった。だが、もちろん意識はする。「偉大すぎる方。ジャイアンツにいる限り、付けることが出来ない番号です。意気に感じて、恥じないように投げたい。とにかく頑張ります」とよどみなかった。剛球でならした大先輩と自身のスタイルを重ね、正面から強打者たちにぶつかる。
キューバ打線の印象について「すごくスイングスピードが速い。力もある」と語り「押せるところはしっかりと押し、引くところは引く。しっかり抑えたい」と続けた。国際野球連盟(IBAF)が発表した最新の野球世界ランクは、キューバが1位、日本は3位。本大会でも第1ラウンドで対戦する。大会3連覇を果たす上で避けて通れないライバルで、侍ジャパンにとって単なる強化試合以上の意味を持つ。
だからこそ、の沢村抜てきだ。山本監督は「沢村のスピードが、どのくらい通用するか。あの速球はどう反応するか、とかね。アウトコースが強いのは分かっているんだけど。例えばインサイドを投げる、とか。ガチンコでやって、相手の戦力的なことを分析というか」と皮算用を明かした。パワーピッチャーで、あえて力勝負を挑み、結果を受けて、本番への対策を練り上げていく。2番手にはソフトバンク大隣が予定されている。
山本監督は「結果なり内容が良ければ、来年のWBC代表に当然入ってくる。精いっぱい、頑張って欲しい」とも言った。本戦は投手13人の構成が予想される。メジャー組の動静が流動的だが、沢村はボーダーラインにいる。CS、日本シリーズで見せた一発勝負での強さをキューバ相手に発揮すれば、自身の本戦出場もグッと現実味を帯びてくる。【宮下敬至】
◆沢村栄治(さわむら・えいじ)1917年(大6)2月1日、三重県出身。34年に京都商を中退して全日本軍に参加。35年に巨人入団。快速球とカーブでプロ野球草創期を代表する投手になった。史上初のノーヒットノーランをはじめ、ノーヒットノーラン3度。通算105試合、63勝22敗、防御率1・74。27歳の44年12月、台湾沖で戦死。背番号14は永久欠番。47年に沢村賞が制定され、59年第1回野球殿堂入り。
◆沢村栄治の国際試合
17歳の34年、全日本軍の一員としてベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグらの全米オールスターと対戦。11月20日、草薙球場(静岡)では0-1で敗れたがゲーリッグの本塁打による1点に抑える快投。「スクールボーイ・サワムラ」の名が全米に伝えられた。翌35年の米国遠征でもエースとして21勝8敗の好成績を残し、そのまま巨人に入団した。174センチ、71キロ。右投げ左打ち。
◆WBC日本代表の背番号14
第1回大会(06年)は空き番で、第2回大会(09年)は所属のソフトバンクでも14番を使う馬原がつけた。日本代表の背番号は松坂の18番のように所属球団の番号をそのまま使うケースが多く、現役の14番では阪神能見あたりも代表入りすれば使う可能性がありそうだ。



