広島デニス・サファテ投手(31)が7日、今季限りで退団することが決まった。昨オフに受けた鼠径(そけい)ヘルニアの手術の影響もあり、今季は47試合に登板し防御率2・90。開幕当初はクローザーを任されたが不振で5月に2軍落ち。その後も、家庭の事情で一時帰国するなど、状態が上がらずシーズン終盤には敗戦処理に“降格”した。鯉の剛腕が、静かに広島のユニホームを脱ぐ。

 156キロ右腕が2年でユニホームを脱ぐことになった。昨季35セーブを挙げるなど守護神として君臨したサファテの退団が決まった。今季は150キロ後半を連発していた剛球にもかげりが見え、47試合に登板し2勝5敗9セーブで防御率2・90。「絶対守護神」の肩書には、物足りない成績だった。

 クローザーを任されながら、昨オフに受けた鼠径(そけい)ヘルニアの影響もあり制球難に陥った。1イニング平均0・48個の四球を与え、5月27日ロッテ戦(マツダスタジアム)では四球から崩れ3点のリードを守れず、不振では初の2軍降格となった。その間、ジェイダ夫人の体調も芳しくなく、シーズン中に看病のために一時帰国も余儀なくされた。野球に集中する環境が整わず、守護神の座を剥奪されると、浮上の兆しをみせることなくシーズンを終えた。

 球団首脳は「持ち味の高めの直球に伸びがなくなり、見極められるようになった。家族のこともあるから」と理由を説明した。球団は代役の新外国人投手の獲得に向けて、調査を始めている。

 サファテはシーズン後に「広島の街と人にサポートしてもらったし、大好きなので、もしプレーする機会を与えてもらえるなら日本に戻ってきてプレーしたい」と残留を望んでいたが、その願いはかなわず。球団が残留オファーを出さないため、国内他球団への移籍は可能となる。ただ、広島でプレーするサファテは、もう見られない。