阪神は16日、大阪市内のホテルで、海外FA権を行使した日高剛捕手(35)の獲得交渉を行った。2年1億円の条件を提示した模様だ。近日中にオリックスと最終交渉した後に、阪神入りを表明する見通し。交渉役の中村勝広GM(63)はドラフト1位ルーキー藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)ら若虎の「先生」としても期待した。(金額は推定)

 日高&阪神の初交渉は、入団会見さながらだった。オリックス時代に師弟関係だった中村GMが口説き文句を繰り出す。「セリーグでもうひと花咲かせてくれ。もう1度、輝け!」。この言葉に、日高も反応した。「必要とされている誠意は伝わった。まだ決まったわけじゃないですが、入る以上は1年目なので。一生懸命アピールしていかないといけない。レギュラーをとって試合に出たい」。席上で2年1億円の条件を提示した模様。オリックスとの最終交渉を終えた後、正式に阪神入りを表明することになる。

 これで手薄な捕手部門の強化は実現する。打力にも定評のある日高には、プレー以外にプラスアルファを求める。それは「先生」としての働きだ。

 中村GM

 15年の経験が生きてくるはず。挫折とかいろいろなことがあった。彼の集大成でしょう。若手のキャッチャーだとプレッシャーがかかる。経験値の高いキャッチャーが若手と組むのは優先順位が高い。

 ドラフトで将来有望な藤浪を1位指名し、仮契約を終えた。他にも歳内や岩本、秋山ら楽しみな若手投手が多い。若虎を育成していく中で、コーチだけでなく、リードする捕手の存在は大きい。周囲からの重圧にさらされる若手よりも、ベテラン捕手のほうが投手の良さを引き出す可能性が高い。来年で36歳を迎える日高に、その役割を期待している。

 中村GM

 捕手は守りの監督。互いに競争して、高いレベルで技術を上げていってほしい。(獲得の)感触はかなりつかんでいる。

 金銭や人的補償が発生しないCランクの選手ということも魅力的な補強のひとつ。交渉後の同GMは表情を崩しっぱなしだった。FA捕手も1年間チームに貢献することを約束した。

 日高

 (アピール材料は)体が丈夫なこと。大きなケガはしていない。打撃は僕の長所と思っている。

 今季はベテラン藤井彰が故障に苦しんだことにより、捕手のやりくりに苦しんだ。日高の加入により、捕手の戦力アップと若虎育成ももくろむ。【田口真一郎】

 ◆日高剛(ひだか・たけし)1977年(昭52)8月15日、福岡県生まれ。九州国際大付から95年ドラフト3位でオリックス入団。98年に1軍デビュー。00年から9年連続で100試合以上出場。08年に打率2割6分9厘、13本塁打をマークするなど打撃面でも定評がある。182センチ、88キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸4000万円。