高校野球の地方大会が28日に終了した。日刊スポーツでは、今春入社した4人の新人記者が取材で奮闘。それぞれが体感した「1年目の夏」を振り返る。
◇ ◇ ◇
懐かしさと新鮮さが入り交じる大会期間だった。西東京大会を担当し、試合はもちろん、スタンドに目を奪われる時間も多かった。自身が高校球児だった頃は、新型コロナウイルスの影響で高校2年時の甲子園は中止。その後も応援制限の中で最後の夏を終えた。だからこそ、ブラスバンドの力強い音色、一投一打に沸き起こる歓声やどよめきが、とても新鮮に映った。
大会を通じて、野球を取り巻く環境の変化も感じた。SNSを開けばトップ選手の技術やトレーニング方法を手軽に学べる時代。その一方で、「野球塾」と呼ばれる部活動外の施設で直接指導を受ける選手が、より増えてきていると実感した。
そんな中、事前取材で伺った八王子実践・河本ロバート監督(40)の言葉が印象的だった。今夏、初の甲子園出場をつかんだ指揮官に「監督の目が届かない環境で、SNSや野球塾を活用することは指導に変化を及ぼしますか」と尋ねた。河本監督は「高校生が主体的に学びたいと思って取り組むことは良いことだし、尊重しています」と即答。その言葉に柔軟な価値観を感じた。
ただ、その後に続いた言葉がさらに心に残った。「良くも悪くも情報があふれている時代。高校生がすべて正しい選択をできるとは思わないですし、情報過多になった時、そのズレをサポートしてあげるのも指導者の役割だと思います」。その言葉の本質は、野球塾やSNSのぜひではなく、情報との向き合い方に気づかされる瞬間だった。「何を信じ、何を採り入れるか」。学校の指導者は選手を教育する存在であり、野球塾はサービスを提供するビジネスという側面を持つ。それぞれの役割を理解した上で、自分に合った情報や指導を選ぶことが、現代野球において欠かせないのではないかと感じた。それと同時に、彼らを支える指導者や保護者も考えなければならない課題であり、時には情報の選択をサポートするのが求められる役割なのかもしれない。
情報を伝える仕事に就いた私にとっても、この言葉は深く胸に響いた。正確な情報を届けることはもちろん、自分なりの取材姿勢やポリシーを大切にできる記者でありたい。大会期間を通して、記者としての原点を改めて教えられた気がした。【田島優大】
◆田島優大(たじま・ゆうだい)2003年(平15)8月19日生まれ、宮城県仙台市出身。小学1年生から野球を始め、中学3年時に全国大会に出場。その際、紙面に掲載されことがきっかけで日刊スポーツを志望。26年4月に入社し、6月から高校野球西東京大会を担当。家族は父、母、妹。175センチ、64キロ。大会期間中に約3キロやせた。

