日本人メジャーリーガーの参加が消滅する中、侍ジャパンの主将、巨人阿部慎之助捕手(33)が「世界一への心得」3カ条を挙げた。キューバとの強化試合から一夜明けた19日、札幌から帰京した。前日からの雪が残る新千歳空港で、WBCの3連覇に向けて熱く持論を展開した。

 (1)格下をなめるな

 今回の強化試合で連勝したキューバは1次ラウンドの最大の難敵。だが、「(1次ラウンド同組の)中国戦だって何があるか分からないよ。俺の母校が甲子園に出そうなぐらいなんだから。格下だからって気は抜けない」。センバツ出場を確実にした母校の安田学園(東京)を例に挙げて警笛を鳴らした。今月下旬には橋上戦略コーチが中国の試合の視察に向かう予定。準備は着々と進められている。

 (2)若侍との再会

 今回の強化合宿では平均年齢約26歳と若手中心のメンバー構成だった。「今回の合宿で若い選手たちは、みんな頑張っていた。来年、集まるときは、この中から1人でも多くの選手が入ってほしい」と、若手の台頭が戦力の充実に直結すると説いた。すでに本番を見据え、今回の強化試合の期間中も若手と積極的にコミュニケーションを取っていた。

 (3)過去の栄光は忘れろ

 WBC2大会連続で優勝という事実が“最大の敵”になる、とみる。「周りは簡単に優勝できるものだと考えるかもしれない。前回も前々回も、全く違うメンバーで戦っている。それは世界中どのチームを見ても同じ。今までの成績は今回の大会には関係ない」と語気を強めた。

 日本球界の誇りをかけた戦いで、負けるつもりなど毛頭ない。頼れる主将は、世界一に立つための「3カ条」を言い残し、つかの間のオフに入った。【為田聡史】