日本ハム吉川光夫投手(24)が21日、史上初の快挙を成し遂げた。パ・リーグMVPを受賞。前年0勝の投手が選出されるのは両リーグを通じて初めてで、パの左腕投手としては最年少受賞となった。「僕が選ばれていいのかなというのが本音」と謙虚に喜んだ。

 セ・リーグMVPの巨人阿部と恐縮しながら握手を交わした。今季の推定年俸4億円の阿部に対し、吉川は1100万円。3年間も勝ち星から見放され、背水の陣で臨んだシーズンだった。14勝を挙げ、最優秀防御率(1・71)のタイトルも獲得。チームのリーグ制覇に貢献する大飛躍の1年を「1人1人のバッターに向かっていけた。今年のテーマだった。クリアできたと思う」と振り返った。

 来季の目標もすでに固まっている。「今年できなかった200イニングは、なんとかクリアしたいです」。そのためにも、まずは炎症を抱える左肘の状態を回復させることがオフの最優先事項となる。「違和感は残っている。年内には、僕自身は投げたいと思っている」と、キャッチボール再開時期を見据えた。「今年の結果だけじゃダメ。続けていかないと意味がないです」。さらなる向上心を持って、前進を続ける。【木下大輔】

 ◆前年未勝利のMVP

 吉川は09~11年の3年間白星がなかった。90年野茂(近鉄)らのような新人を除き、前年未勝利投手のMVPは史上初めて。