現役復帰を目指しているソフトバンク3軍リハビリ担当コーチの斉藤和巳(34)が26日、福岡市内の球団事務所でコーチとしての契約を更改した。来季も復帰を目指す立場で臨むことが決まり、来年2月には宮崎春季キャンプへの参加が有力。長引く右肩痛の影響で“仮引退”してコーチとなり3年目を迎える。奇跡の復活へ勝負の年になる。

 更改を終えた斉藤コーチは厳しい表情を崩さなかった。来季に向けて「無理したくないけど、無理しないといけない部分もある。こんな状態が続いているので」と言った。瀬戸際に立たされていると、自覚しているかのようだった。

 階段は着実に上がっている。7月に福岡・西戸崎室内練習場でフリー打撃に登板。8月には松中を相手に打撃投手を務めるなど「少しは良くなっている」と話す。更改の席では球団側から「来年も復帰目指して頑張ってほしい」と温かい言葉をかけられた。

 「来年の開幕に間に合うようにとは言わない。(支配下登録期限の)7月31日までにいいところを見せてほしいと伝えた。もう1回彼がマウンドに立つところを見たいですから」と小林至海外中長期戦略部長。関係者によると、来春キャンプは同じく右肩故障からの復帰を目指す馬原ともに、B組(2軍)で参加する方向。今年2月はリハビリ組としてキャンプに同行したが、1歩前進した形だ。

 王球団会長も「可能性がある間はやってほしい」と復活に期待をかけた。03年からの4年間で64勝を挙げたが、08年1月の右肩手術後は登板機会がない。「毎年危機感を感じてやっている」と斉藤コーチ。昨年12月に結婚したタレントのスザンヌ(26)とは、来月に海外で挙式する。かつての剛腕はよみがえるのか。来年は注目の1年となる。【大池和幸】

 ◆斉藤和巳(さいとう・かずみ)1977年(昭52)11月30日、京都府生まれ。南京都から95年ドラフト1位でダイエー入団。03年に26試合登板で20勝3敗をマークし、主要タイトルを独占して沢村賞も獲得。05年は16勝1敗で勝率9割4分1厘。06年18勝で2度目の最多勝と沢村賞に輝いた。08年以降の登板は右肩故障のためゼロ。192センチ、95キロ。右投げ右打ち。

 ◆斉藤の苦闘

 03年20勝、06年18勝で沢村賞に輝いたが、08年1月に米ロサンゼルスで右肩腱板(けんばん)修復手術を行った。同年12月にはブルペン投球を開始したが状態は上向かず、10年2月に再手術した。11年1月1日付で支配下選手枠から外れて、リハビリ担当コーチとして故障選手を指導しながら自らも現役復帰を目指すことになった。