オリックスからFA移籍したソフトバンク寺原隼人投手(29)が開幕投手争いに参戦する。4日、福岡ヤフードームで入団会見に臨み、7季ぶりに復帰した古巣での活躍を「僕の宿命」と宣言。先発投手として“貯金”と完投数、180イニング以上を目標に挙げた。同席した秋山監督からは開幕投手の競争に加わるよう指令が出た。

 寺原が福岡に帰ってきた。「今日のために買いました」。晴れの会見に備えて新調したグレンチェックのスーツに笑顔が似合う。秋山監督が隣で耳を傾ける中、復帰の喜びを語った。

 「うれしいプラスやるぞという気持ち。いろいろ悩むこともありました。トレード2回で成長してきたと思います。自分はここでやり残したことがある。声をかけてもらってうれしいし、感謝の気持ちを込めてしっかりした成績を残すのが僕の宿命だと思う」

 横浜(現DeNA)とオリックスの2球団を渡り歩き、FAで7季ぶり古巣復帰。過酷な先発ローテ争いを選んだが、道中で積んだ経験値が最大の武器だ。

 「先発、中継ぎ、抑えと全部やって多少の経験があるし、生かしたい。とにかく先発にこだわりたい。いろんなポジションをやって先発で2桁を勝った喜びが一番うれしかったので」

 背番号は従来の20から「新たなスタート。ゾロ目のいい数字をいただいた」と11に決まり、新たな気持ちで来季の目標も明かした。

 「あんまり何勝というのは言いたくない。勝ちと負けの貯金にこだわりたいし、完投や長いイニングです。1年かけローテを守って180以上のイニングを目指して頑張りたい」

 過去2度、移籍初年度には170イニング以上と、環境変化によるモチベーションアップは実証済み。次々と“公約”を掲げる寺原を頼もしげに見つめ、秋山監督は開幕投手というカンフル剤を打ち込んだ。「WBCもあるし、まだ何も決めてない。いい投手がいるから競い合ってな。そういうもんだろ」。現時点で空白の大役レースへの参戦を命じた。寺原は「何と言っていいか分からない」と言いながら、敏感に反応した。

 「1回、横浜の時に開幕投手をさせてもらって、重みを分かっています」

 プロキャリアの原点で、18歳で初勝利を挙げた福岡ヤフードームに所信表明が鳴り響いた。【押谷謙爾】

 ◆寺原の開幕投手

 横浜時代の08年3月28日阪神戦(京セラドーム大阪)で1度務めた。2-0で迎えた4回、先頭赤星の四球から崩れ、金本の右越え同点三塁打など逆転されこの回で降板。結局4回2安打3四球、3失点で負け投手に。エース三浦の右肩痛で急きょ巡ってきた大役だった。