3連覇へ秘策がある!?

 広島前田健太投手(24)が11日、初出場する来年3月のWBCで新球を披露する可能性を明かした。東広島市内で行われたチャリティーゴルフ大会に参加。初めて扱う国際球について「ツーシームが曲がるとなれば使えるだろう」と語った。メジャー組が欠場する今大会は、国内組の底力を見せるためにも、世界の舞台で魔球を操る。

 前田健の表情が厳しくなった。WBCの話題になった途端、それまでの笑みは消えていた。念願の日本代表入り。球界を代表するまでに成長した右腕は燃えている。

 「メジャー組がいないから弱いと言われるのは悔しい。結果で示すしかない」

 3連覇へ向けて、秘策は頭の中に思い描いている。WBCで使用するボールはメジャー球と原則同じで、縫い目のヤマが低く、革も滑りやすいとされる。その特性を生かしメジャーリーグには直球系のボールを微妙に動かす投手が多い。

 「ツーシームが曲がるとなれば、使えるだろうと思います」

 前田健はシーズンでもシュート系のツーシームを使用しているが、あくまでカウントを稼ぐ球種でしかない。だが、自身は参加していないものの、11月の強化試合のキューバ戦では、右打者への内角に食い込む球が有効であることが証明された。曲がり方次第では、代名詞のスライダーとともに、ウイニングショットとして威力を発揮する可能性は十分だ。

 ボールが変わること自体に不安はない。これまでにも、国際球を手にしたことがある。だが「滑るなあ、というのはあります。日本のボールとは違う。でも、WBCもどんなボールを使うかは分かりませんから」と不問に付した。

 「前のボールから統一球になったときも(曲がりが)変わるという声もあったけど、あまり分からなかった。(持ち球は)オーソドックスな球種なので、めちゃくちゃボールに影響はないかと思う」

 前田健が主体とするスライダー、カーブ、チェンジアップは、いずれも曲がりが大きくボールが変わっても影響を受けにくいと語る。11年から導入された統一球も、変化球を操る上での困難は無かったという。ボールを投げるのは、来年1月のハワイでの自主トレから。日の丸を背負う男が進化する。【鎌田真一郎】

 ◆前田健の球種

 組み立ての主体となるのは、スライダー、カーブ、チェンジアップ。特にスライダー、チェンジアップは曲がりの大きさ、球速を自由自在に変えることができる。ツーシームでカウントを稼ぐこともある。フォークも投げられるが、今シーズンは使用しなかった。