ダル、マエケンに続け!

 29日、堺市内のホテルで、中学時代に所属した「大阪泉北ボーイズ」主催の激励会に参加した阪神ドラフト1位の藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)が「将来目指すべき」と沢村賞への思いを語った。同じ大阪南部で育ち、野球漬けの日々を送ったダルビッシュ(レンジャーズ)や前田健(広島)に続き、日本を代表する右腕を目指す。

 偉大な先輩たちの系譜にならう-。激励会に参加した藤浪が、投手として最高の栄誉とも言える沢村賞への思いを口にした。足元を見ながらも、確かな決意がにじみ出た。

 「今の自分にはそんな実力は全然ないですけど、これから頑張って、そういう賞を目指していくべきだとは思います」

 登壇した来賓の1人から大きな期待をかけられていた。日本少年野球連盟の渡辺滉名誉会長(82)から「ピッチャーとしてプロに入った以上、沢村賞を目指して頑張って欲しい」と熱いエールを送られた。引き合いとして名前が挙がったのはダルビッシュ、前田健ら。藤浪と同じ大阪南部で育った、球界を代表する右腕たちだった。

 藤浪は以前から、目標にする投手としてダルビッシュと前田健の名前を挙げている。藤浪がいた当時の、泉北ボーイズのコーチが以前に前田健を教えていたという縁もあり「憧れでした」。ダルビッシュについては、長身の外見とその実力から甲子園でも「なにわのダルビッシュ」という異名で注目され続けた。2人の“先輩”に続けとばかりに、沢村賞を目指せと期待を寄せられ、自らの進むべき道とした。

 藤浪にとって「大阪泉北ボーイズ」で過ごした中学野球時代は、いわば野球の原点だ。「自分の野球の礎になっているところ。努力する楽しさを教えてもらった原点です。どの行事が、どの試合がというのはないですが、日々の、1日1日の練習がすごく印象に残っている」と振り返る。2年秋からエースを務めたが、2度、予選の決勝で敗れて全国大会を逃した。悔しさをバネに高校は大阪桐蔭に進み、甲子園の春夏連覇につなげた。

 原点の地、堺での「沢村賞」宣言。大阪が生んだ偉大な先輩たちに負けじと、ビッグな右腕になってみせる。【山本大地】

 ◆沢村賞

 故沢村栄治氏(巨人投手)の功績をたたえ、先発完投型の投手に贈られる。47年(昭22)に制定された。当初はセ・リーグの投手を対象にしていたが89年から両リーグに広げられた。59年までは記者投票、60年からは沢村賞受賞者、または同等の成績を挙げた投手で現役を退いた者5人を中心とする選考委員会で決定。選考基準は(1)15勝以上(2)奪三振150以上(3)10試合以上の完投(4)防御率2・50以下(5)投球回数200イニング以上(6)25試合以上の登板(7)勝率6割以上の7項目。