「王者良太」が再びキャンプチャンピオンに輝いた。阪神は22日、沖縄・宜野座キャンプを打ち上げた。充実の鍛錬期間を終え、和田豊監督(50)はMVPに新井良太内野手(29)を挙げた。昨年に続く“受賞”に虎の元気印は一層発奮。練習試合全5試合で「4番」を任された男が、今日23日の日本ハム戦(名護)で始まるオープン戦から4番死守の戦いに出る。

 小雨降る宜野座に長蛇の列ができた。猛虎復活への汗が染み込んだキャンプ、虎党への最後のサービスが新井良の即席サイン会だった。50人を超えるファンに丁寧にペンを走らせる。チーム一の人気者へは指揮官の愛も一途だった。2年連続でMVPに選出。おとこ気たぎった良太は、堂々の胴上げ宣言した。

 新井良

 縁起はいいけど、若い選手も頑張っていましたからね。まあ、元気枠なんで。元気よくやっていたから、うれしいです。恩義に感じると言うか、去年は我慢して使ってもらった。今年は監督を男にする。それが恩返しです。

 異論なしの防衛だった。持ち前の大声は健在。チームを鼓舞するだけでなく、新加入選手が溶け込みやすいように配慮した。練習量はチームトップ。グラウンドをあとにするのは最後が多い。もちろん実力もつけた。昨年はあくまで盛り上げ役としての受賞。和田監督も「声というところで」と理由付けしていた。1年前とは質が違う、進化の最高殊勲選手になった。

 和田監督

 間違いなく2連覇、良太ですね。昨年は声だけ。今年は力をつけて内容もいいし、声の質もチームを引っ張る声だった。鳥谷が(WBCで)いなくなったあとは、俺がチームを引っ張るという気持ちが出ていた。打席での成長も感じる。かなり苦しみながら4番を経験したからね。

 昨年は声をきっかけにチャンスをつかみ、47試合で「虎の4番」になった。今年もすべての練習試合で4番。心身ともに引っ張る姿は、十分にチームリーダーの背中になった。本命の兄貴浩が右肩痛からのリハビリ中である今、4番への期待も高まる。

 新井良

 4番は2月限定じゃないですか(笑い)。ただ、何番でも頑張るだけ。積極性を忘れずにやっていきたい。もう1つ高く気合を上げて、ますます熱く、ぎらつかせていきたい。

 今日から始まるオープン戦を前に、この日は左翼の守備練習もこなした。一塁と三塁を兄貴浩、コンラッドとの3人で競う状況。貪欲に出場機会を探っている。

 8月には30歳。野球人生を懸ける年、良太は決して「宜野座男」にならない。【近間康隆】