<WBC強化試合:阪神2-3キューバ>◇27日◇京セラドーム大阪

 侍の皆さん、最強打線はこう抑えるんです!

 阪神久保康友投手(32)がキューバ戦の9回に登場し、真っ向勝負で3人をピシャリと抑えた。WBC日本代表に1次ラウンド最強のライバルの抑え方を見せつけ、セーブこそつかなかったが、ど派手な守護神デビューを飾った。

 新ストッパーの久保が「赤い超人軍団」を相手に、今季初マウンドに立った。いきなり142キロのストレートをズバッと投げ込み、この日2安打のアルエバルエナのバットに空を切らせる。力勝負で優位に立ち、最後はフォークで三ゴロに仕留めた。

 2人目はこの日3安打の1番エレディア。内野安打2本に長打も打てるくせ者を、この日最速の143キロ外角ストレートで見逃し三振。最後はバットすら出させなかった。3人目フェルナンデスも力で押し左飛。パワー自慢が並ぶキューバ打線を「目には目を」の力勝負で完璧に封じ込んだ。

 キューバ打線は、浩二ジャパンにとって1次ラウンド最大のライバルだ。勝ち進んでも2次ラウンド、決勝トーナメントで激突する可能性もある強敵だ。過去の国際大会で見せつけてきたパワーは健在。しかも、バントヒットを決めた1番エレディアのように、スモールベースボールも身についている。そんな相手をねじ伏せた。

 抑えても満足しないのが「投げる哲学者」たるゆえんだ。「自分では(直球が)全然いってない感じですし、球筋としてはもう1つ。狙っているところに投げられていない時点で、自分の求めているものとは違う。結果3人で抑えた、ただそれだけ」と自分への注文が相次いだ。

 守護神として初めて迎えた沖縄・宜野座キャンプでは模索の日々を過ごした。さまざまな変化球を試しながらも、「あれは試合では使わない」と、投手としての持てる引き出しを増やしながら、効率よく抑える方法を考えた。ひとつの答えとして、この日選んだのがストレートを中心に攻める投球だ。おそらく、これが決定版ではない。今後も変幻自在の久保スタイルで、新しい守護神像を自らのものにしていく。

 危なげない初陣に首脳陣も高評価だ。和田豊監督(50)は「これはいけるという感触があった」と手応え。中西清起コーチ(50)も「任せていけるものを見せてくれた」と及第点を与えた。

 今後は連投や、実際の試合展開での登板などさらなるテストが用意される。久保は「あとは連投と、よーいドンでベストパフォーマンスを出すこと」と課題を挙げた。2013年、虎の9回に立ちはだかる男が、侍ジャパンに道を示し、シーズに向けても大きな期待を抱かせた。【山本大地】