スピードスターの本領発揮だ。阪神西岡剛内野手(28)が3日、自慢の俊足を解禁した。練習試合・西武戦(春野)に1番二塁で先発。初回、移籍後初盗塁を決めた。グラウンド状態が悪い中での高速スチールが起爆剤となり、10-1の大勝劇を呼び込んだ。チームメートをいじり、ベンチからは声を張り上げる。あらゆる場面で西岡が先頭に立っている。

 タテジマに袖を通してから約1カ月、西岡がついに伝家の宝刀を披露した。初回、遊撃失策で出塁。2番大和の2球目だった。背番号7が力強く地面を蹴ると、一気に加速。スピードを落とさないスライディングで二塁を奪った。阪神入団後、実戦での初盗塁だった。

 「下がちょっと、軟らかかったんで、足をとられた感じがあったんですが、いいスピードに乗れました。動けていますね」

 これで終わりじゃない。西岡は二塁上からも走る構えを見せながら西武バッテリーを揺さぶった。先発岩尾は制球を乱し、福留、新井良に連続四球。満塁からマートンが犠飛、コンラッドは二塁打を放ち2点を先行した。西岡の足が有形無形のプレッシャーを与え、圧勝の流れが生まれた。

 久慈内野守備走塁コーチは満足顔で言う。

 「ロッテ時代が100とすれば、今は100ではないんだろうけど、それに近づこうとしている。声も出しているし、引っ張ってくれているよ」

 05年に41個、06年に33個を記録して盗塁王を獲得した。その頃に比べれば、現時点でスピードの低下は否めないかもしれない。だが、本人も、首脳陣も、開幕へ向けてまだまだスピードは上がっていくと確信している。昨季、リーグトップの巨人(102個)に対し阪神は同3位の65個に止まった。目指す機動力野球の旗頭として、西岡が13年虎打線の強力な武器になる。

 俊足だけでなく、おちゃめなキャラも発揮し始めた。この日、新井良のヘルメットには見慣れないシールが貼ってあった。

 「男新井

 アニキ」-

 直筆の主は西岡だ。新井良は1つ年上だが、西岡にはそれが許される雰囲気がある。攻撃中はベンチから声を張り上げる。味方を鼓舞し、相手をやじる。停滞しそうなムードを壊し、空気を動かし、チームに流れを呼び込んでいる。3打数無安打だったことすら、忘れさせる西岡の存在感だった。【鈴木忠平】