<オープン戦:ロッテ6-5日本ハム>◇19日◇QVCマリン

 昨季のパ・リーグMVP左腕が、開幕へ向けて不安を残した。日本ハム吉川光夫投手(24)が19日、ロッテとのオープン戦(QVCマリン)に先発。予定の6回を投げ切ることができず、5回7安打3失点(自責2)で降板した。開幕2カード目の初戦(4月2日、ロッテ戦)に登板予定で同じ舞台、相手の前哨戦だったが、球威、制球ともに精彩を欠き、苦手意識を与えることはできなかった。

 収穫は1つしかなかった。吉川が挙げたプラス材料は「球数を投げられたことだけが収穫です」。オフに左肘、肩を痛めてから実戦では最多となる93球を投げた。しかし、ボール球が36球と4割近くを占めた。意識は低めに置いていたが「全部、高め高めにいった」。ストライクとボールがはっきりし、甘い球は痛打された。その結果、球数は増え、予定の6回を投げ切れなかった。

 力強い剛球でねじ伏せる姿は、なかった。簡単にはじき返された。象徴的なシーンは3回。先頭の今江に130キロの変化球を左翼フェンスまで持っていかれた。1死三塁となって、サブローには140キロの外角直球を右前適時打。続く細谷にも140キロの内角直球を左前へ運ばれた。この回に打たれた3本の安打は、すべて初球。しっかり踏み込まれ、気持ちよくバットを振られた。

 2月の春季キャンプで、十分な投げ込みができなかった。実戦もまだ3試合目で、昨年のような球威やキレは完全に戻っていない。栗山監督も「全力で向かう感じは出ていた。ただ、球はいかなくなっている」と不安視する。しっかり指にかかって低めに制御された球は「ファウルと空振りが取れている」と手応えもあるだけに、コンスタントに投げられるかどうか。受けた鶴岡も「修正していかないと、勝てるピッチングはできない」とハッパをかけた。

 4月2日ロッテ戦での先発が有力視されている。「それは関係なかったです」と無関心を貫いたが、前哨戦で苦手意識を与えることはできなかった。次回は26日のイースタン・リーグ、西武戦(鎌ケ谷)で開幕前最後の登板予定。「(課題克服は)試合の中でやっていかないと意味がない」。調整ではなく、本番のつもりで総仕上げに臨む。【木下大輔】