<ヤクルト1-0阪神>◇30日◇神宮
プロ通算115勝のエースが出直し1勝を刻んだ。ヤクルト石川雅規投手(33)が阪神戦に先発。9回2死二塁まで3安打無失点に抑えていたが、小川監督は「マートンに回れば決めていた」と守護神バーネットを投入。それでも、石川は晴れやかな表情でマウンドを降りた。「チームの形。チームが勝ったからそれでいい」と笑った。
今季は勝利にこだわる。昨季はプロ11年間で2度目の1ケタ勝利(8勝)。正月に届いた多くの年賀状の中に「勝負の年だよ」という言葉もあった。「周りもそう思っているんだな」と実感。「2年続けてダメだと『もうダメか』ってなる。そう思われたくない。もう1度レベルアップしないと」。今までと同じでは進歩しないと悟った。
一から出直した。7球種を持つにもかかわらずフォーク習得に着手。後輩の館山や村中にも教えを請うた。マウンド上でも「テンポが良くなれば守りやすいはず」とロジンを触る回数を減らした。「成長したい」。その一心が変化を促進させ、余計なプライドを捨てさせた。5年連続だった開幕投手を逃しても「1年ローテーションを守って勝つのが目的」と冷静だった。
さらに、意気に感じる出来事があった。開幕前、小川監督から「今年は悪いな、開幕じゃないけど」と言われた。熱くなった。「余計に頑張ろうと思いました」。この日は相川が「果敢に攻めてくれた」と話すように厳しく内角をえぐって前日猛打賞の西岡を無安打と、同17安打の阪神打線を封じた。7回1死一塁では「サインです」と言いつつ外角に外しエンドランを阻止した。今季初勝利をもたらした左腕に、小川監督は「よく投げた。本当に良かった」と感謝した。
それでも石川は「今日が良くても意味ないです」と引き締めた。「優勝していないので、貢献できる投球を続けていきたい」。12年ぶり優勝まで、がむしゃらに勝ち星を重ねることしか頭にない。【浜本卓也】



