名門ヤンキースが、早ければ今オフにもポスティングシステム(入札制度)でメジャー挑戦の可能性がある楽天田中将大投手(24)の獲得に向けた本格調査を開始することが22日、明らかになった。この日までに来日したスカウトが今日23日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に先発する田中を視察予定。すでに複数球団が視察済みだが、獲得合戦に参戦するべく、ヤ軍が本腰を入れる。

 ヤンキースが、今オフにもメジャー挑戦の可能性がある田中の本格調査に乗り出す。複数の米球界関係者によると、チーム本隊のスカウトがこの日までに極秘で来日し、約2週間滞在する予定。今日23日のオリックス戦から田中の登板を数試合チェックするという。

 既に2月の久米島キャンプではレンジャーズの渡部国際スカウトが来訪し、ダルビッシュに続く本格派右腕として注目度は高い。4月9日の日本ハム戦(東京ドーム)にはレ軍、パドレス、レイズ、ジャイアンツ、フィリーズの5球団が視察。16日にはドジャースのスカウトもKスタ宮城に訪れるなど、各球団が調査を行っている。その獲得合戦にヤ軍も乗り出す格好だ。

 田中は昨年12月、球団と3年12億円プラス出来高払いの複数年契約を結んだ。ただ、1年ごとにポスティングによるメジャー移籍を球団と話し合うという条件付き。契約更改の会見では「来オフのメジャー挑戦はないということか」と聞かれたが「ないことはないです」と即答したように、納得のいく成績を収めれば、今オフにもメジャー挑戦を申し出る可能性は十分にある。実力はもちろん11月に25歳と年齢的な若さも魅力で、ヤ軍は水面下で調査を進めていく。今回の視察後、スカウトは米国に戻ってチームの編成幹部に報告するもようで、夏場以降に獲得を本格的に検討する方針だ。

 日本のエースとして期待された3月のWBC1次、2次ラウンド4試合に登板したが計7回3失点(自責2)と満足のいく結果を出せなかった。しかしシーズン突入後は2勝0敗、防御率1・29と徐々に調子は上向いている。この日は神戸市内で調整。「球数もしっかり投げられるようになってきたし、それに体も耐えていかないといけない。シーズンを通して投げられるようにしたい」と話した。米球界の盟主が参戦することで、日本のエースを巡っての周囲が騒がしくなりそうだ。

 ◆ヤンキースの先発投手

 今季は開幕からサバシア、黒田、ペティット、ノバ、ヒューズで1人も欠けることなくローテーションを回しており、先発防御率3・44はリーグ5位。故障者続出でパンチ力不足の打線をカバーしている。ただオフには黒田、ペティット、ヒューズの3人がFAになる予定で、先発陣の補強が最優先課題になる。しかも球団方針で総年俸の削減を打ち出しており、難しい戦略を強いられそうだ。 <マー君に対する今季メジャー各球団これまでの動き>

 ◆2月

 レンジャーズ国際スカウトが久米島キャンプ来訪。

 ◆4月9日

 日本ハム戦をフィリーズ、パドレス、レイズ、レンジャーズ、ジャイアンツの5球団が視察。

 ◆4月16日

 ドジャースのスカウトがKスタ宮城を訪れる。