<楽天2-1巨人>◇22日◇Kスタ宮城

 マー君が「世代NO・1」の実力を見せつけた。楽天田中将大投手(24)が巨人打線を7安打1失点に抑え、09年の自己最多に並ぶ開幕7連勝を今季初完投で飾った。WBCでともに戦い、投げ合いを楽しみにしていた同学年の巨人沢村拓一投手(25)との投手戦を制し、チームを3連勝で今季最多の貯金4に導いた。これで、同学年の投手との先発対決は通算10勝0敗と無類の強さを誇る。田中と沢村。両投手の明暗を分けたポイントに迫った。

 敵の主軸を「分断」し、今季初完投勝利につなげた。阿部を4打席凡退に抑えたが、全て走者のいない状況だった。3番坂本を封じたから、そうなった。「1発のある打者。阿部さんがホームランを打てば(巨人は)30何連勝というのもありました」。最も警戒する4番阿部の前に打者を出さないことがテーマだった。

 実は、「試合前は『今日はどうしよう』というほど」出来は良くなかった。1回、長野に「人生で初めて」という先頭打者本塁打。2番石井には中前打。一気に流れを失いかねなかった。立ち直るきっかけは、坂本を三ゴロ併殺に打ち取ったからだった。

 坂本には完勝だった。4回の第2打席は直球で見逃し三振。6回の第3打席は、虚を突いた。初球ファウルの後、2球目はサインに首を振って内角高めツーシーム。「しっかり投げればファウルは取れると思った」の思惑通り、149キロを食い込ませ、ファウルで追い込んだ。最後は外角低め115キロ。対角線に34キロも遅いカーブを決めると、坂本のバットはピクリともせず3球三振。積極的な坂本が2打席連続で見逃し三振を喫するのは4年ぶりだった。

 そして、8回2死一、三塁のピンチで迎えた、坂本の4打席目は右飛に仕留めた。スプリットが抜けて真ん中に入ったが、「気持ちが入っていた。打ち損じてくれた。1本でも打たれると(坂本が)後でうるさいんで」と、イタズラっぽく笑った。3者凡退は4、6、9回の3イニングだけだったが、勝負どころを見誤らず、坂本→阿部のラインを断った。

 四球後に犠飛を打たれた沢村とは対照的だった。その沢村も、坂本も同じ88年生まれ。田中は「意識しましたよ。リーグは違うけど、切磋琢磨(せっさたくま)している仲間と思っている」と胸を張った。「成熟」の投球で世代NO・1に君臨した。【古川真弥】

 ▼田中が今季初完投で7勝目を挙げた。巨人戦は10年6月6日以来の3勝目で、このカードで完投勝利は初めてになる(完投負けは2度)。楽天で開幕7連勝は09年田中、09年福盛と並ぶタイ記録。田中は2度目で、パ・リーグで開幕7連勝以上を2度は村田(ロッテ)81年11連勝と85年11連勝、郭泰源(西武)88年10連勝と94年9連勝、篠原(ダイエー)99年14連勝と00年8連勝に次いで4人目だ(セで2度も3人だけ)。この日の巨人先発は同じ88年生まれの沢村。田中と88年組との先発対決は11度目で、田中の10勝0敗となった。