日本ハム大谷翔平投手(18)が、明日26日の阪神戦(甲子園)でプロ入り初対決が濃厚なドラフト同期の藤浪に対し、“ほめ殺し”で前哨戦を終えた。24日、北海道から関西へ移動。前日23日のヤクルト戦で1軍投手デビューを果たし、投手としての大変さもわかるだけにライバルを素直にたたえ、闘志は内に秘めた。今日25日の同戦は、登板翌々日ということを考慮し、スタメンを外れる見込みだ。

 火花バチバチのライバル対決…には、ならない。明日26日に阪神藤浪とのプロ入り初対決が濃厚な大谷は、闘争心は内に秘め、同じ年のライバルを素直にたたえた。「1勝(3勝1敗)してるのはすごい。ストレートが速いし、早めにタイミングを合わせないと間に合わない」。二刀流に挑戦する自身も、打者としては打率3割を超える(3割8厘)数字をマークしているが、謙虚に、対戦を見据えた。

 前日23日のヤクルト戦で投手デビューを果たし、本格的に二刀流人生が始まった。最速157キロの衝撃は、勝ち星こそつかなかったが、ファンの心に刻まれた。「張りはないです。球数もそんなに投げていないので」。心配された体の“ダメージ”はなさそうで、栗山監督も「明日(25日)の様子を見てだけど、(スタメンで)いけるようになるべくしてあげたい。ファンのみなさんも待っている」と、夢の対決実現を後押しする。

 花巻東の一員として出場した昨春の甲子園では、大阪桐蔭のエース藤浪から右翼へホームランを放ったが、チームは敗れた。夏の大会は県予選で敗退したため、終わってみれば、怪物と呼ばれた大谷が甲子園でプレーした最後の試合になった。「(プロで)初めてやるのでどうなるかわからないけど、チームが勝てるように頑張りたいです。(自身の打撃も)前よりよくなっていると思うので」。前夜、藤浪からは「初登板おめでとう」とメールがあった。グラウンドを離れればよき友人でもあるが、チームのために、簡単に負けるつもりはない。

 舞台は再び甲子園。栗山監督は「人間をすごく大きなものにする魔力を持っている」と話す。高卒1年目から球界を盛り上げる2人の青年のレールが、聖地で、交錯する。【本間翼】